女子サッカー選手 猶本 光さん

なでしこジャパンの次世代を担うボランチ・猶本光さんは、チームを中盤から支え得点感覚も備えた頭脳派プレーヤーとして注目されています。高校生時代からU-17代表で頭角を現し、日本開催の2012年U-20ワールドカップでも活躍。現在はなでしこリーグのトップチーム・浦和レッドダイアモンズ・レディース(以下レッズレディース)の中心選手であると同時に、筑波大学大学院では学業に励んでいます。なぜ、サッカー選手と大学生の両立をめざしたのか、その理由を聞いてみました。

サッカーのスタイルを変えた 大学での研究活動

大学で学んだことは、サッカー選手としてどのように生かされていますか?

猶本

運動学や栄養学、スポーツ心理学など、体育やスポーツに関わることが主体ですが、いろいろな場面で生きていますね。例えば栄養学で知った“高タンパク食”は、学んだことをすぐに実践してみましたよ。当時はまだ身体ができていなかったので、肉や魚をしっかり食べる食事に変えてみたりして。コンディショニングの方法とかも、選手として本当に勉強になりました。また大学で学ぶことは、単に知識を得られるだけじゃなくて、視野を広げることにもつながりますね。サッカーの世界だけでは得られない情報とか、考え方とかを知ることができます。授業でのディスカッションではいろいろな視点からの意見が出てきて、“こんな考え方もあるんだ”と驚かせられることもあります。
今、師事している西嶋(尚彦)先生の研究室は、1年生の頃から出入りしています。サッカーに関しても研究室で様々な映像を見ることが多くて、それらを題材にいろいろ話をしていると、一人ではわからないことに気が付けることも多いですね。

大学ではどんな研究をしましたか?

猶本

卒業研究で、「ドリブル動作の解析」をテーマに選びました。どういう動作でドリブルが成り立っているのかを、トップ選手の映像から洗い出して解析する研究です。スタイルの違う様々な選手をサンプリングしました。特にすごかったのはメッシ(FCバルセロナ、アルゼンチン代表)選手で、ドリブルで走るときにかかとが高く上がらずに、地面から低い軌道で動くんです。だから、ああいった細かい動きやボールの扱いが可能なんですね。こういったことは、普通に見ただけじゃわからない。研究者の目線で、分析したからこそ見えてきたことでした。

その研究で、ご自身のプレースタイルにも影響はありましたか?

猶本

私自身、ボランチとしてプレーしていて、トップレベルではドリブルがあまり通用しませんでした。しかもU-20のワールドカップの時、海外のチームとやるとあっという間にパスコースがなくなって、出せなくなることがよくあったんです。パスだけだとこの先行き詰る、世界では通用しない。自分のプレーを少し変えてみようかなと。今まではパス最優先だったのが、ファーストタッチで少し動いて相手を外してから、パスするとか。そういった考えもあり、卒業研究でドリブルをテーマにしたというのもありますね。
昔はシャビ選手(元FCバルセロナ、稀代のパサー)が好きと言っていましたけど、最近めざしているのはモドリッチ選手(現レアル・マドリード、クロアチア代表)ですね。パスもドリブルもすごくて、守備も強い。自分も今は守備をすごく意識しています。いいボールの奪い方ができたら、次の攻撃がよりうまくいきます。その快感を知ってしまいましたから。

いろいろな出会いや学び 大学に進学してよかった

2016年の春からは、筑波大学の大学院に進まれましたね。

猶本

最初から大学院に進もうと思っていましたし、安藤さんが大学院で博士課程に進まれていて、その影響もありました。今でもドリブル動作の研究を続けていて、学部生時代よりもっと深く見られるようになっています。自分がサッカー選手だからこそわかる感覚もありますし。それを研究成果としてまとめられたらと思います。いずれは博士課程に進んで、博士号をとりたいとも思っています。

 

サッカー選手としての活躍も期待しています。

猶本

現役の間に、ワールドカップ優勝、オリンピック優勝をしたいですね。それといつかは海外のクラブでプレーしたい。未来はわかりませんけど、それぐらいの選手になりたいと思っています。もちろんまだまだですし、まずは、なでしこジャパンのスタメンで出られるようになることが、直近の目標です。

 

高校生・受験生へメッセージを。

猶本

大学では、自分が好きな分野、興味のあることを学ぶことができます。いろいろな出会いもあり、安藤さんや熊谷さんのような世界で戦う人を身近に感じることもできて、大学に進学して本当によかったと思っています。高校生ならこれから何でもできます。自分に限界を作らずに頑張ってほしいですね。

 

Profile 女子サッカー選手
猶本 光さん


1994年、福岡県出身。小学校1年生でサッカーを始め、2007年に福岡J・アンクラスに入団。2012年、筑波大学体育専門学群へ進学し、同時期に浦和レッズレディースへ移籍。2014年には、サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)に初召集され、5月8日のニュージーランド戦で代表デビューした。キャプテンシーあるそのプレースタイルは、今後の日本女子サッカーを背負う逸材として注目されている。

女子サッカー選手 猶本 光さん