淑徳大学 人文学部 北野 大(きたの まさる)教授

ビートたけし(北野武)さんのお兄さんであり、テレビのコメンテーターとしてもおなじみの北野大先生は、環境問題を専門とする化学者。学生時代は文学部志望から工学部に転身するという異例の受験歴をもち、大学卒業後は研究や教育に長く携わってきました。そんな北野先生から、高校生・受験生のみなさんへの熱いメッセージ、環境問題や大学受験の話をお伺いしました。

「なりたい自分になる」ために、努力を続けていくことが大切

北野先生といえば、クイズ番組を中心にテレビでご活躍されていた印象が強いです。

北野 大教授(以下 北野)

実は去年の3月でレギュラー番組は終わって、最近は弟のたけしと一緒に出るくらいです。かれこれ30年近くテレビに出てましたから、もう十分ですよ(笑)。今は大学での仕事が中心です。

そもそもテレビに出演するようになったきっかけは?

北野

「世界が広がるから」と弟に言われてテレビに出るようになったのですが、野球評論家の方や歌手の方とか、いろんな人と知り合うことができました。それにテレビの世界で活躍している人は、人間性もすばらしいし、何よりいつも努力を続けている人ばかり。自分自身へのいい刺激になりましたね。その一方で、すれ違ってもきちんと挨拶ができない人とか、上の人にはペコペコするけど、下の人は横柄な態度をとったりするような裏表のある人は、だいたいテレビの世界から消えている。そういう面では、一般の社会と変わらないなと思いましたね。大学は社会へ飛び立つための助走路のようなもの。ですから、教えている学生にはそういった社会人のマナーについてもうるさく指導しています。

そんな大学をめざしている高校生・受験生は、大学入試が目前に迫っています。

北野

大学を受験するには、それなりの頭脳と、家庭の経済力がないといけませんよね。ですから、「大学を受験できるのは幸せだ」ということを知ってほしい。そのことをしっかり踏まえたうえで、「大学受験を志したら、絶対に途中であきらめてはいけない」。自分が責任を持って立てた志を放り投げてしまったら、一生悔いが残りますから。

そこでは、なぜ大学に行くのかという命題もあります。

北野

それは「なりたい自分になるため」です。受験勉強を頑張るのも、「なりたい自分になる」ためであって、決して親のためでも先生のためでもない。自分の希望を叶えるために頑張る。スポーツの人なら、プロ野球選手になりたい、Jリーグの選手になりたいって、毎日必死に頑張るでしょ。それと同じですよね。

先生はこれまで会社勤めなどもされていますが、もともとは大学の教員になりたかったそうですね?

北野

そうです。大学を卒業して大手の製薬会社で2年間働いたんですが、どうしても大学の先生になりたくて、会社を辞めて大学院に行きました。結構いい給料もらってたんだけどね(笑)。それを投げうって、奨学金を借りたり、アルバイトをしながら修士課程と博士課程の合計5年間を頑張って、博士号も取って……と、すべては大学の教員という「なりたい自分になる」ために頑張ったわけです。

 

科目の好き嫌いは、先生との相性もある
英語力も才能の問題じゃない

得意科目や苦手科目で理系か文系かを決めて、自分の将来の選択の幅を狭めてしまう高校生も少なくありません。

北野

国語が好きで数学が嫌いとか、理科は好きだけど英語は苦手なんてよく言いますけど、教科の好き嫌いは先生との相性も大きく影響する。これは間違いありません。それはそれで別の問題ですが、あくまでもひとつの出会いのようなもの。努力すれば何とかなりますよ。
脳科学者の茂木健一郎さんが「人間にはそもそも理系も文系もない」と言ってますが、この意見には大賛成。持って生まれた理系脳、文系脳なんてものはない、と私も思っています。英語の得意不得意も才能の問題じゃない。だから、科目の出来不出来に左右されないで、しっかりと努力を続けて、なりたいと思った自分をひたすらにめざすべきなんですよ。

努力はすべての基礎となる、と。

北野

世の中で一流と言われる人たちは、一人の例外なくみなさん頑張ってますよね。イチロー選手は天才って言われると怒るでしょ。「私の努力している姿を知らないからだ」って。本田圭佑選手は「オフの日は平日以上に努力している」って。この姿勢はすばらしいですよね。
そのなかで、私がいちばん好きなのは王貞治さんの言葉。「努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない」って。すごいですよね。私自身もそういう言葉を励みにしてきましたけど、高校生・受験生のみなさんも、そういう人たちの姿勢を少しでも見習ってほしいですね。