ロボットクリエイター 高橋 智隆さん

パナソニックの乾電池「エボルタ」のCMでグランドキャニオン登頂、ルマン24時間完走、東海道五十三次走破などに挑戦するかわいらしいロボット。
これらの開発を手がけるのがロボットクリエイターの高橋智隆さんだ。
「本気でロボット開発をしたい」と大学に入学し直したというユニークな経歴を持つ若きカリスマに学生時代のエピソードやロボットの未来像について聞いてみた。

目玉おやじのような小さな話し相手をつくりたい

数多くのロボットを世に送り出してきた高橋さんですが、最近はどんなお仕事を?

高橋智隆さん(以下 高橋)

最近は音声認識機能を搭載した小型ヒューマノイド(ヒト型)ロボットの研究に力を入れています。いかに擬人化できるかがポイントで、コミュニケーションをしたくなるインターフェースとはどのようなものか、心理学や認知科学、人間工学などの知見も加味しながら、研究をしています。

ロボットに心理学ですか。


高橋

例えば、スマートフォンやカーナビに音声認識機能が搭載されて久しいですが、なかなか一般的に使用されているとは言い難いですよね。やはり、ユーザーが四角い無機質なハコに話しかけることに違和感を感じているんです。でも一方で、ペットの金魚やクマのぬいぐるみにさえ人は話しかけたりするから、この分野は興味深い。ピーターパンのティンカーベルやゲゲゲの鬼太郎の目玉おやじのように、童話やマンガの世界では昔から肩の上に物知りな小さい話し相手がいるんですよ。彼らは、スマートフォンのようなある種の情報端末であり、そんなロボットを実現したいです。

そんな高橋さんが、ロボットに興味をもった原点は「鉄腕アトム」だと聞きました。

高橋

実家に原作のマンガがあったんです。その中の科学者がロボットをつくり上げる場面を見て、「将来、自分もロボットをつくりたい」と小学生の頃から思っていました。ただ、その後、プラモデルやラジコンに夢中になったり、中学・高校時代はブラックバス釣りに没頭したりと、興味は移り変わっていきました。

アウトドア派だったんですね。大学受験の時期はどう過ごしていましたか?

高橋

立命館高校に通っていたので、そのまま立命館大学の産業社会学部へ進学しました。

文系の学部だったんですか?

高橋

その後にもう一度大学に行っています。立命館大学時代、就職活動で第一志望の会社から内定をもらえなかった。そこで「本当にやりたいことを学ぼう」と、大学に入り直すことを決意しました。

そこで再熱したのが、ロボット研究への思いだったんですね。

高橋

自分の中で「ものづくりの究極」だと思っていたのがロボット研究でした。そして1年間、河合塾に通って受験勉強をして、京都大学工学部物理工学科に入学しました。僕は1年次からロボットの研究室に出入りしていて、その頃からロボットをつくり始めました。今でも同じですが、自分の感性で、格好いいロボット、欲しいと思えるロボットをめざしています。材料や工具はホームセンターや模型店で買いそろえていましたね。

EVOLTA(エボルタ): 2008年5月、グランドキャニオンの断崖絶壁に挑戦。約530mのロープを登りきり、見事登頂。

CHROINO(クロイノ): 米TIME誌「Coolest Inventions 2004」で「最も クールな発明」に選ばれた。

FT:女性らしい細身のシルエッ トをモデルとしたロボット。

ロボットクリエイター 高橋 智隆さん