授業の特徴、授業の内容、学べること、特色などを掲載しています。

授業紹介

※掲載している内容は、2018年6月時点の情報です。現在は内容が変更されている場合があります。

社会学部 教育文化学科
異文化体験実習①

指導教員 奥井 遼 助教

京都大学教育学研究科博士課程修了。人形浄瑠璃に関する研究で学位を取得し、フランスでの在外研究を経て2018年より現職。伝統芸能における技の伝承をはじめ、哲学や人類学の研究領域は国内だけでなく、海外にも広がる。

多文化共生の現実を知り、主体的に学んで、地球規模の視点を得る

授業の内容

グローバルの先駆者を主体的に学ぶ


学年を越えて、プロジェクトを進行中

多文化共生社会における人間形成に着目し、的確な支援と指導ができる人材の養成をめざす社会学部教育文化学科。机上の学びだけでなく体験教育(EBL)を重視し、オリジナルプログラムを設置。奥井遼先生が担当する「異文化体験実習①」もそのひとつだ。ディスカッションなどで選抜された11 人が受講する。ゼミナール形式で、事前に与えられた課題についてディスカッションを行い、学年の垣根を越えて積極的な意見の交換が行われる。

2018年は、明治時代後期に移住していった日系カナダ人の人生を調査する。およそ100年も昔に日本を飛び出し、カナダに赴いて出稼ぎをし、現地に住み着いて新しい生活を始め、グローバルに生きた人々がいる。彼らの人生を知ることで異文化について考え、現地で触れ、その体験を通じて異文化への認識やグローバル化、今後の英語教育などについても考えを深めていく。国内での事前学習では、移住者の故郷である和歌山県美浜町三尾地区を訪問。移住者の子孫や当時を知る方々へのインタビューや、移民に関するドキュメンタリー映像を観たり、興味のある文献を読んで意見交換するなど主体的に学びを進め、カナダでの実地調査に生かす。また、グループで取り組むテーマのほか、個々に行うプロジェクトも同時進行。学生が自分で課題を見出し、取り組むことが求められる。

学びの意義

理想だけでなく現実を知る一歩先の多文化共生

キーワードは多文化共生。授業の一環で多文化共生を学生に絵で表現させたところ、地球の人々が多様性を認め合い、仲良くしている理想を表現した作品が多かった。だが、授業では理想や良いイメージだけを取り上げるのではなく「理解することができない他者が存在する」という現実も取り上げ、ではどうすればいいのか?と問題を提起する。「20世紀型のインターナショナル化やグローバル化はある程度の成功を収めたかもしれないが、21世紀になって綻びが生じてきた。テロやポピュリズムの流れもその表れといえるだろう。異なる背景を持つ人々が共に生きようとする、その一歩先の議論が必要であり、現実を知り、そして共生できる方法を模索するべき」と奥井先生は話す。一方、多文化共生に理解があっても、たとえば手で物を食べる、路上で暮らすなど、まったく違う習慣に拒否反応を覚えてしまうことがある。「机上の学びと現地で目の当たりにする事象に矛盾を抱き、自分のフレームワークがいかに狭く小さなものだったかに気づいて新しいフェーズに入る。そういう瞬間があるのも、この学問のおもしろいところ」という。

学びの目標

日本本位のグローバルでなく地球規模の視点を

学生に望むのは、地球規模の視点を持った教育者になってほしいということ。教師に限らず、会社やコミュニティで出会う人々に、地球規模の視野を持った一市民として、多文化共生の意義やグローバル化の必要性を伝えることができる人材だという。世界をフィールドにして活躍できるグローバル人材を育成しようとする大学が多く、企業が求めるのもそういった学生だが、これまでいわれてきたグローバルは日本の競争力を世界基準にしよう、日本の良さを海外に発信しようとする日本本位の考え方によるものだ。しかし、奥井先生の目標は「世界が持続可能な社会に成長できるよう、地球規模の視点で物事を考えられる人材の育成」である。現代の日本教育ではまだこのような観点で論じられることが少ないので、殻を破るという意味でも積極的に進めていきたいという。