授業の特徴、授業の内容、学べること、特色などを掲載しています。

授業紹介

神学部 神学科
聖書解釈演習3

指導教員 石川 立 教授

1953年愛知県生まれ。東京大学文学部(哲学専攻)卒業。同志社大学神学研究科博士前期課程修了、ミュンヘン大学神学研究科博士課程修了。専門は、旧約・新約聖書の解釈、聖書神学。

世界一発行部数の多い書物・聖書
その世界観のおもしろさを知る

授業の特徴

より深く聖書の魅力を知るために自らの力で解釈をする


同志社神学教育の拠点となる「神学館」

現在、世界の人口の約55%が、キリスト教、イスラーム教、ユダヤ教のいずれかを信仰しているという。この数字は、様々な宗教とその行事が入り乱れる日本に住んでいると共感しにくいかもしれない。実際、「神学部に入学してくる学生のなかでも、信仰を有している者は2 割弱。イスラームなどの文化に興味を持って入学するケースも近年は多く、聖書を読んだことがない学生もいます」と石川立先生は明かす。そんな学生たちに、聖書のおもしろさをまず知り、受容してほしいという思いから、この演習は始まった。

春学期は旧約聖書。秋学期は新約聖書を読み、そのなかからテーマを選んで作品を制作する。石川先生は、「漫然と、読みなさいと言っても頭には入ってきませんが、好きな題材を用いて自己表現してみなさいと言うと積極的に読むことができる。そこに課題を与える意図があります」と話す。

授業の内容

文献を調べる、学外に出る
自由に、自在に、自分次第で


聖書解釈演習3を担当する石川立先生

聖書を読み、これと思う題材を選ぶ。旧約聖書ならば、有名なアダムとエバ、カインとアベルの物語などで構成されている創世記。モーセの十戒が描かれる出エジプト記などが知られているが、石川先生は「ダビデ王が現れる前の士師記やルツ記、またダビデ以降のサムエル記や列王記も大変おもしろい。さながら歴史小説の趣で、様々な人間模様が描かれています。聖なる話はなく、俗な話ばかりで、まさにエピソードの宝庫」であると語る。

イエス・キリストが主人公となる新約聖書は、日常生活を題材にとった例え話が多いため、物語としてさらに興味深く読める。いずれも宗教的な意味合いを探求するのではなく「短編小説的に読んでほしい。難しいと思ったら飛ばしてよい」という方針の基、扱うテーマを決め込んでいく。

表現方法も自由。紙芝居あり、絵本あり、マンガあり。近年は10 分近い本格的なアニメや映像作品を制作する学生も少なくない。「みんな、非常にクリエイティブ。立体的な作品や演劇を作る学生もいます」。

制作は主に授業中に行う。調べ物をしに図書館へ、動画を撮りに動物園へという具合に、しばしば学外に出かける学生も。

「サークルのようにワイワイと。何にも縛られず、楽しそうに作業しています」と話す石川先生は、できればグループをつくって制作にあたってほしいと考えている。違う意見に気づくことや異なる考えをまとめていく、共同作業を経験させたいとの思いもあるからだ。「なかには一人で作業したいという学生もいます。もちろんそれも自由です」

学ぶ楽しさ

文化としてとらえる聖書
映像や文学を読み解く鍵にも

聖書は世界一発行部数の多い書物。キリスト教徒が多くを占める欧米では、聖書は暮らしのなかにごく自然に溶け込んでいる。文学作品や映画が、聖書をモチーフにしているのはよくあること。近未来を描いたハリウッド大作の背景に一瞬現れた数字が、聖書に関係していることなどを知れば、「ぐっと身近な存在になると思います」。

同学部では、ほとんどの卒業生が一般企業などに就職する。社会人生活のなかで、聖書の世界から得た欧米文化への造詣が活かせる機会は多々あるはずだ。

実は今冬、聖書の改定版発行が予定されている。それは30年ぶりのことで、聖書学者だけでなく、日本語の専門家や歌人、詩人など、様々な分野のプロを結集し、時代に合わせた翻訳や表現の書き換えが行われると予測されている。「時代を越えて読み継がれる聖書の世界観にふれてほしい」。石川先生はそう願っている。