授業の特徴、授業の内容、学べること、特色などを掲載しています。

授業紹介

※掲載している内容は、2017年6月時点の情報です。現在は内容が変更されている場合があります。

神学部
神学科 イスラーム原典講読演習

原典をシビアに読み込み、自分なりの見解を持つ
文系研究の醍醐味を味わい、楽しむ

Profile 神学部 森山 央朗 准教授

東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了、東京大学大学院人文社会 系研究科博士課程修了。シリアと日本の研究所を経て2013年より現職。専門は歴史学だが、ムスリムを取り巻く現代的状況への関心も持つ。

アラビア語を学びつつ、イスラーム教徒の文化や社会習慣を学ぶ

昨今の世界情勢を考えるとき、宗教やその背景にある文化に関する知識の重要性を感じる人も少なくないだろう。同志社大学神学部は、キリスト教、ユダヤ教、イスラームという3つの一神教を同時に学ぶことのできる世界的にも貴重な教育・研究機関だ。

森山央朗先生の専門は歴史学。11世紀前後の西アジアのイスラーム教徒(ムスリム)社会における宗教知識人(ウラマー)について研究している。この授業では、アラビア語を学ぶこと、そしてムスリムの文化や社会習慣について学ぶことを目的に、ゼミのような演習形式で、アラビア語の文献を精読している。

90分でわずか5行。アラビア語の文献を詳細に読み解く


ペルシア語と日本語のバイリンガルの
ベランギさん。授業中にペルシア語が先に
出てしまうことも

アラビア語は、モロッコからイラクにかけての約2億人が使用する言語で、語順が日本語や英語と違い、活用が複雑で格変化が多いことなどから、文法をすべて学ばなければ読めないという、習得するのが大変な言語だ。入門クラスは人気だが、途中で学習をやめる学生も多く、この授業を履修する学生は毎年10名以下。少人数で、1文ずつ文法項目をおさえながら詳細に読み、内容を先生が解説する。90分でわずか5行から10行しか進めないということからも、その密度の濃さがうかがえる。

2017年度のテキストは、12世紀のウラマーによる宗教的説話という日本人にとってあまりなじみのないものだ。苦労を重ねて日本語に訳した後、先生の解説で、背景にある歴史的・文化的・思想的状況を詳細に学び、議論する。森山先生は言う。「学部レベルではそこまで求めなくてもいいのかもしれませんが、せっかくアラビア語を勉強しているのだから、原典を読むことを通して、その背景にある情報も読み取る力を身につけてほしいのです」

大学での学びとは、自分で発見した問題に対して、資料などで調査を行い、自分なりの答えを出すことだと森山先生は言う。「イスラームを勉強するなら、人の書いた論文ではなく、ムスリムが書いたものを直接の手がかりに議論を立てることによって、独創性のある見解を導き出すことができるのだと思います。たとえ翻訳のある文献であっても原典にあたって検討することが基本です」

学生は、難しい言語、理解しにくい内容を詳細に読むことを通して、文章を注意深く読む習慣、情報を精査する態度を身につけていく。なかにはアラビア語の原典資料を使って論文を書いた学生や、モロッコに語学留学した学生もいるそうだ。

学びそのものを楽しむために言語を学んでほしい

就職に直接役立つような授業ではないと笑いながら森山先生は言う。「学びがどう役立つかということよりも、学びそのものを楽しんでほしいと個人的には思っています。アラビア語は活用の複雑さが特徴なので、古文の文法が好きな人は学習に向いているかもしれません。世界の宗教を学ぶ基礎となる世界史・世界地理・現代社会も、高校時代にしっかりと勉強することでより理解度が深まります。きつい授業かもしれませんが、詳細に読むということをゲームのように楽しんでほしいですね。わかりやすいことって実はおもしろくない。わかりにくいこと、面倒なことこそおもしろいのではないでしょうか。イスラームを学びたければ、その学びをより楽しむためにも言語を学んでほしい。イスラームについて単に講義を聴いているよりもずっとおもしろいと思いますよ」