ゼミ・研究室の特徴、取り組み、特色などを掲載しています。

ゼミ研究室

※掲載している内容は、2017年6月時点の情報です。現在は内容が変更されている場合があります。

生物資源科学部
海洋生物資源科学科 海洋生物資源利用学研究室

海洋生物の生きる“能力”を探り、人間社会に有効利用する道を切り拓く

Profile 生物資源科学部 松宮 政弘 教授

1978年、日本大学農獣医学部水産学科卒業。農学博士。同大学助手、専任講師を務めた後、米国で研究。2001年に助教授に就任、2008年より現職。専門分野は水産利用学、水産化学ほか。

海洋バイオマスをよりよく活用するため生物の智慧を借りる

海洋生物資源利用学研究室では、海洋の資源利用について基礎から応用まで多様なテーマを扱っている。なかでも大きな柱のひとつが、松宮政弘先生が長年取り組んできた“キチナーゼ”という酵素。エビ・カニ類の甲殻の主成分である多糖類=キチンを分解する酵素だ。

「地球上で植物のセルロースに次いで量が多いバイオマス(≒生物由来の有機物資源)が、キチンです。残念ながら人間はキチンを消化できませんが、海の生物にはエビやカニを食糧とするものが多く、ほとんどが甲殻を消化するためのキチナーゼを体内に持っています」と、松宮先生は話す。

キチンは独特な結晶構造を持つ多糖類で、強酸などで化学処理した分解物のキトサンやグルコサミンが健康食品などですでに利用されている。しかし、酵素によってキチンそのものを自然界に近い条件で分解すれば、単糖のN-アセチルグルコサミンなど、より価値が高いとされる物質が得られる。「海洋生物がエビ・カニを食べ、キチンを分解する仕組みを科学的に明らかにし、豊富なバイオマスであるキチンを使う道を切り拓くのが、研究の目的です」

ほかにも海洋生物が生存のために獲得してきた能力を多方面から解明し、それらを元に水産食品の加工や貯蔵に関する技術を検討するなど、人間社会に貢献する研究を数多く行っている。

生物利用と学術の両面から最先端の知見に触れる環境

これらの研究は、生物学の基礎研究にも貢献する。例えば魚類の体内にあるキチナーゼの種類や分布を調べると、サバなど繁栄している魚類は、シーラカンスのような“古い”魚類に比べて効率的にキチナーゼを保有・利用していることが解ってきた。「キチナーゼの遺伝子研究は、魚類の進化の新たな証拠にもつながります」。最先端の知見につながる研究機器や設備の環境が、この研究室には整っている。また、「缶詰の製造など研究室独自の設備があり、オープンキャンパスでも公開しています」と、本格的な食品加工実習ができるのも特長。卒業生の多くが食品メーカーに就職することから伝統的に行われ、食品製造の現場を知る貴重な場となっている。

「失敗を恐れずに、挑戦してほしい。自然から学ぶことは本当にたくさんあって、楽しいですよ」と笑う松宮先生の笑顔から、“海が大好き”な気持ちが伝わってきた。