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ゼミ研究室

※掲載している内容は、2017年6月時点の情報です。現在は内容が変更されている場合があります。

生産工学部
機械工学科 野村研究室(分野:熱工学・エンジン燃焼)

燃料の燃焼メカニズムを解き明かすため
無重力環境での燃焼実験に取り組む

Profile 生産工学部 野村 浩司 教授

1992年、東京大学大学院工学系研究科航空学専攻博士課程修了。博士(工学)。同年日本大学生産工学部助手、2007年より現職。エネルギー変換技術が主たる研究分野であり、微小重力環境を利用した研究手法が特徴。

液体燃料がいかに燃えるのか 実際に観察し法則性を見出す

「現在、我々が利用している動力の90%は燃焼により賄われています。そこで液体燃料をいかに効率良くクリーンに燃やすか、燃焼の解明に取り組んでいます」と説明するのが、野村浩司先生。車や飛行機のエンジンや火力発電所などで使われる、ガソリンや軽油、灯油などの液体燃料の燃焼メカニズムについて研究を進めている。特に燃料を霧状にして燃やす噴霧燃焼において、燃料の粒子がいかに連鎖して燃え広がるのかはまだ未解明の部分が多く、数値シミュレーションで予測が難しいのが現状だ。近年は植物由来のバイオマス燃料も増えてきており、組成の違いから燃焼特性も変わってくる。そこで燃焼の様子を観察し、法則性を見出すことを追求している。

しかし、ミクロン単位の微細な粒子の燃焼を直接観察することは難しい。したがって1ミリサイズにスケールアップした液滴を、燃焼させ撮影する。そこで問題になる最大の阻害ファクターが重力だという。

「無重力環境では自然対流の影響を受けないため、粒のサイズが大きくても同じ反応を示すスケールモデルができます。そこで無重力に極めて近い微小重力環境を作り、燃焼実験を行うことが不可欠です」

微小重力環境を得るために落下塔自作や宇宙にも進出

微小重力環境での実験に欠かせない装置が、独自に開発した高さ9mの落下塔。5.6mの自由落下距離で1.1秒の微小重力状態を作り、秒間2000コマ撮影できる高速高感度カメラで燃焼を撮影。また必要に応じて、北海道にある高さ50mの落下塔や、航空機や小型ロケットで得られるより長い微小重力環境での実験を行う。さらに国際宇宙ステーションでの燃焼実験プロジェクトにも参加し、独自に製作した実験装置を宇宙に送った。NASAの実験棟とJAXAの実験棟(きぼう)での2つの実験が行われている。今後は、この宇宙での実験で得られたデータの解析にも取り組んでいく。

このように実験装置の自作に注力するのも生産工学部ならでは。「アイデアを出してオリジナルの実験装置を作り、誰も見たことのない現象を解き明かすことを強みとしています」と野村先生。現在の落下塔も25年前に自作したもので、歴代の学生のアイデアで日々改良が加えられてきたという。「手作りの落下塔から始まった微小重力燃焼実験が、今や宇宙にまで舞台が広がりました」と、感慨深げに語ってくれた。