河合塾講師が分析する大学別・教科別学習アドバイス。昨年度入試の分析や今年度入試の対策・学習アドバイスを掲載しています。

現代文

※前年度入試の学習アドバイスです。今年度情報は9月下旬より順次更新いたします。

2018年度入試の問題分析

学部の出題内容と形式

大問三題のうち、IとIIが現代文。Iでは歴史とは何かを論じた学術的な文章が出題された。歴史とは思考によって過去の出来事を一貫した秩序のなかに再構成したものであり、ありのままの出来事を羅列したものではない。歴史は出来事を記述した一種の物語ではあるが、人間的営為の真実に関わる記述である点が虚構の物語とは異なる。IIは森鷗外の娘である茉莉が、理性的ではあっても無感情な傍観者と見なされがちだった鷗外のことを、愛を感じつつも離れて暮らす父のことを忘れていった自らの経験に照らして理解することを試みた思索的なエッセイが出題された。いずれも内容そのものが高度で興味深い一方、設問は標準的で、難問奇問は見当たらない良問。主に傍線部の内容説明や空欄補充など、オーソドックスな出題形式だった。

2019年度入試対策・学習アドバイス

主題への意識

設問を正確に解くためには、論旨を正確に追い、内容を頭に残さなければならない。そのために不可欠なのが、主題に対する意識だ。主題とは、その文章において「説明の対象」になっているものである。言い方を変えると、読者が理解しなければならないことだ。通常はたったひとつしかない。その主題に対する説明が、残りの文章全体を占める。そして、「この部分は何を説明するためのものか」という意識を持つと、各部分の関連が見えやすくなる。そうすれば、理解した内容が頭に残り、理解したことを、実際に設問を解くときに生かせる。接続詞の穴埋めでも、このような力が問われている。

読解の基本を身につける

前述の内容とも関わるが、何かを言葉で説明する手段は限られている。「対比」「具体例」「言い換え」などがそれだ。どのような参考書でも必ず説明されている。ただし、多くの受験生はそれらを、単にチェックしているだけで終わっていることが多い。内容を理解するための手段になるのだということを踏まえておくことが大切だ。これは受験のためのテクニックというよりは、文章を理解するうえでの基本であり、大学で勉学するうえでの前提条件である。当たり前のことを当たり前にやれば解けるように設問はつくられている。

漢字と語彙(ごい)

漢字の学習は必須。漢字・語彙(ごい)を直接的に問う設問が多く出題されることもある。日常ではあまり使用しないが、物事を説明したり理解したりするには必要不可欠な、多くの抽象的な言葉もその過程で覚えられる。難しそうに見える言葉に脅えて、内容が理解できなくなるという事態だけは避けたい。余裕があれば、現代文の重要語を集めた参考書も利用して、多くの言葉に触れてほしい。

様々な文章に触れる

入試問題で出題される多くの文章は、日常とはまったく別の視点から物事を分析したものが多い。とはいえ、書かれている内容は、実は受験生の日常にも関わるものであることも多い。自分が親しんでいるはずの事柄を分析的に理解するという経験を、様々な文章を読むことで積み重ねてほしい。楽しみながら理解するという経験の積み重ねが、読解力向上の近道だ。それが設問に解答する力にも必ずつながる。