河合塾講師が分析する大学別・教科別学習アドバイス。昨年度入試の分析や今年度入試の対策・学習アドバイスを掲載しています。

世界史(TEAP利用型)

2017年度入試の問題分析

1,400字程度の史料文(チャアダーエフの『哲学書簡』、ドストエフスキーの『作家の日記』)が2つ提示され、大問が1題、設問が3問、小問は7問であった。設問1では下線部が指す内容や人物を選択する設問(4択問題)が5つ、設問2では、指定用語が5つ、制限字数250~300字の論述問題が1問出題され、設問3 では制限字数250~300字の論述問題が1問出題された。設問ごとに見てみると、設問1では下線部前後の文章を読んで時期や地域を絞り込んで解答を選ぶものである。史料文が19世紀のものなので3つは近代に関する用語を問うものだが、2つは「モンゴル人」「ピョートル1 世」といった前近代の用語を答えさせるものだった。設問2は、史料文の2人の著者のロシアのあるべき姿に関する考え方(西欧型思想、伝統的思想)の相違点を19世紀のロシアの国内の現実とロシアをめぐる国際関係に即して説明する、制限字数250~300字の論述問題で、指定用語を正確に使い比較することが要求されている難問である。問3はアジア地域の改革や変革運動を史料文I・IIの立場を明確に対立させ、具体例を織り込んで説明する難問であった。

2018年度入試対策・学習アドバイス

従来の入試問題形式は、4択・5択のマークシート方式によるもので、記述・論述形式の問題はほとんど出題されなかった。TEAP利用型の入試問題の特徴は、史(資)料を使用した論述問題で、合格はこの論述問題の出来にかかっている。2016年度は、論述問題(制限字数350字)は1問出題され、イギリスの13植民地とスペインのラテンアメリカ植民地の社会構造が形成された理由を比較して答えさせる問題であった。2017年度は、論述問題は2問出題され、それぞれの制限字数は300字なので字数的には約2倍の分量であった。論述問題の1問(設問2)は「比較」させるもので難問である。西欧的な近代化を主張したザパドニキ(西欧派)と伝統文化と正教会を基盤とするスラヴォフィル(スラヴ派)の考え方の相違点について指定用語を使用して説明することが求められている。5つの指定用語が答案の方向性を示しているので、19世紀ロシア帝国の近代化についての幅広い知識と理解を必要する。論述問題のもう1問(設問3)は、西欧的近代化政策と伝統的文化や宗教を利用した反西欧化政策を、ロシア周辺地域を題材にして具体的な改革や変革運動を簡潔にまとめることが要求されている。この問題も「比較」の観点が要求されている。論述力がある受験生を取りたいという大学側の意図が十分にくみ取れる問題である。過去問が3年分しかないので、長い史料文を使用する東京外国語大学などの国公立大学の過去問を利用した答案練習を通史が終わった段階で始めることが必要である。出題ジャンル( 時期・地域) は、2015・2016年度は近世後半の西ヨーロッパ諸国であったが、2017年度は近代のロシアとアジアであった。作成した答案は、世界史・小論文の先生方に見てもらって適切なアドバイスをもらえると実力が向上する。論述答案を作成するにあたって、客観的な採点基準ポイントをどれだけ満たしているかを意識して学習を進めてほしい。また、下書きを書く時間は入試本番ではないので、普段からメモなどを取りながら答案を作成するようにしよう。