河合塾講師が分析する大学別・教科別学習アドバイス。昨年度入試の分析や今年度入試の対策・学習アドバイスを掲載しています。

物理

2019年度入試の問題分析

試験時間は80分。「物理基礎」および「物理」から大問として4題の出題。学科、コース、日程による難易度のばらつきは少なく、全体的には標準レベルの問題であるが、一部やや難程度の問題も出題される。大問第1問は小問4問からなり、1問目は力学分野から、2問目は波動ないしは熱分野から、3問目は電磁分野から、4問目は原子分野から出題される。簡単な数値計算問題や、現象名・法則名・人名・単位名などに関する問題(2019年度は、電荷の単位、〔H〕の読み方、人名(ボーア、ド・ブロイ、アインシュタイン)と用語(水素原子モデル、物質波、光量子)を結びつける問題などが出題される。大問第2問以降は5~9個の小問からなる大問形式で、空所補充形式、あるいは、途中過程も書く論述式、描図形式と多様な解答形式を用意している。第2問は力学で、「物理基礎」および「物理」から出題される。2019年度は、「剛体のつり合い」「弾性力と動摩擦力の起こす運動」「円すい面内部の物体の運動」「紐に吊るされた2球の2次元衝突」「加速電車中での単振り子」。第3問は気体・熱、または波動分野からの出題で、気体・熱分野からは「重りのついたピストンで仕切られた気体の状態変化」「T-Vグラフ」が、波動分野からは「薄いプリズムによる偏向角」「超音波旅客機」が出題された。第4問は電磁気分野からで、電気分野と磁気分野が半々の割合である。電気分野からは「1次元分布の点電荷のつくる電場・電位」「リング状に等間隔に分布して電荷のつくる電場」、磁気分野からは「抵抗をもつレール上での導体棒の運動の考察」「電場や磁場中での電子の運動」「交流の送電」が出題された。 「身近な現象を単純化したモデルで解析する」意欲的な問題を織り交ぜてくるところが工学院大学の入試の特徴のひとつとなっているが、2019年度も、「超音波旅客機」「交流の送電」などの、身近な現象がテーマの問題が出題された。

2020年度入試対策・学習アドバイス

公式の丸暗記は無意味

物理の基本法則について、応用力を伴う本質的理解が要求されるので、丸暗記された公式の断片的な知識では役に立たない。普段から、重要公式を自力で導いたり、法則の持つ意味とその適用限界にも気を配っておくことが大切である。

各分野の重点ポイント

原子分野からの出題は、大問1小問4の定位置で落ち着いた。力学では、「物理基礎」からの出題としては、等加速度運動、力学的エネルギー保存則、「物理」からは、運動量保存則、円運動、単振動などがメインになろう。電磁気分野では、主に「物理」から、電界や電位といった基礎概念の確認問題や、直流回路、特にコンデンサーを含む直流回路は最頻出である。また、荷電粒子の運動もよく出されている。波動分野では、「物理基礎」からは波の基本性質、気柱や弦の定常波、「物理」からはドップラー効果、光の干渉などが頻出である。気体の問題は、「物理」から、気体の様々な状態変化と熱力学第1法則に関した出題が中心になろう。 入試対策であるが、過去問を数年分見ておくのが有効だろう。問題は落ち着いてよく読み、特に見慣れぬテーマの問題では、文中に埋もれているヒントを見逃さないようにすることがポイントである。記述式の解答を書く場合、丁寧にはっきりと読みやすい字で書くことも最低限のエチケットである。