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ゼミ研究室

都市教養学部 理工学系
数理科学コース 鈴木ゼミ(分野:計算理論/数理論理学)

誰も解いていない筋道の証明に学生も先生も一緒にチャレンジ

Profile 都市教養学部 鈴木 登志雄 准教授

京都大学理学部卒業後、筑波大学大学院に進み博士課程数学研究科中退(卒業前に大学教員として採用されたため)。博士(理学)。2006年から現職。専門は計算理論と数理論理学。著書『例題で学ぶ集合と論理』(森北出版)ほか。

高校生・受験生へのメッセージ

小中高校の算数・数学では、ラヴェルの「ボレロ」のように同じテーマが繰り返し登場するので、その大きな流れをつかんでほしいですね。また、数学には言葉で表現することも必要。国語や英語の読解、文章を書くことにも興味を持ってほしいと思います。

純粋数学寄りの計算理論から人工知能に近い応用研究まで

鈴木登志雄先生が研究している分野の概要について伺うと、先生は「化学や生物学に比べて、数学というものは非常に説明しにくいんですね」と笑顔で答え、計算可能性理論と「チューリングマシン」に関する解説が描かれたひとつの図を示した。

「計算理論でいう計算モデルとは、現代人向けにわかりやすく言うと、コンピューターを理想化・単純化して得られる、数学上の概念です。チューリングマシンは計算モデルの元祖であり、イギリスの数学者アラン・チューリングによって1930年代に考案されました。チューリングはこのマシンに何ができて何ができないかを研究したのです。先ほど、計算モデルはコンピューターを理想化したものと言いましたが、歴史の順序は逆です。数学基礎論を土台として、チューリングマシンの理論が先にできて、それを母体のひとつとして、後からコンピューターが生まれたのです」

鈴木先生が研究する数理論理学や計算理論は、このチューリングや、不完全性定理で知られるクルト・ゲーデルによる1930年代のすぐれた研究を母体とし、純粋数学・コンピューターサイエンス・哲学の3つの分野をつなぐようなものだという。鈴木先生のゼミでは、純粋数学に近い理論的な部分から、人工知能とも関連がある応用的なテーマまで、様々な研究を進めている。

数学は抽象的な内容を言葉で説明しながら進んでいく


チューリングマシンの構造の例。計算で
きる可能性を数学の概念として表現でき

2016年度のゼミは、学部生と大学院1年生が合同で取り組んでいる。学生の希望に応じて基礎チームと応用チームに分け、基礎チームは数理論理学や計算理論の王道をいくトピックを扱った英語の入門書を、応用チームはゲーム木に関する高度な英語論文を読んでいる。

基礎チームでは、学生が先生代わりになって文献の内容を説明。それに対して他の学生や先生がいろいろと質問をする。「日本は理系・文系と分けるのが好きで、数学は理系だといわれますが、言葉で説明したりディスカッションしたりしながら、つまり言葉を紡ぎながら進んでいくものなので、きちんと説明する文系的な能力も必要です」と鈴木先生。理数系の抽象的で説明しづらい内容をいかにわかりやすく説明するか、その体験をしてもらうのが狙いだという。

一方の応用チームで読むのはプロフェッショナル向けの論文で、これは理系の最新情報をつかむための訓練にもなるという。ある論文では、結果は書かれていたがそこに至る証明が完成していなかった。このような、まだ誰も解いていない証明にチャレンジすることもよくある。

「高校数学の教科書に出てくるトピックでも、実際にはまだよくわかっていないことが数多くあります。結果はわかっているがそこまでの道筋がわからないことも、数学に携わる人間にとってチャレンジしがいのある目標。私たちは、その道をちゃんとつくろうとチャレンジしているのです」

まだ誰も、ということは、先生も知らない証明を、先生と学生が力を合わせてみつけていく。数学のゼミというとピリピリした空気を思い描くかもしれないが、話し上手で例え話も上手な鈴木先生のもとで、楽しく数学に取り組む雰囲気に満ちている。