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ゼミ研究室

都市教養学部 法学系
政治学コース 安田ゼミ(分野:国際政治)

正しい知識と理解をベースに意見を形成し国際政治を分析できる視点を養う

Profile 都市教養学部 安田 佳代 准教授

東京大学法学部第三類(政治コース)卒業、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻国際関係論博士課程単位取得退学。博士(学術)。東京大学東洋文化研究所助教などを経て2015年から現職。

高校生・受験生へのメッセージ

国際政治では、日本語の文献だけでは得られない情報を英語の文献から得られることが多くあります。高校生のみなさんも、英語は受験の先につながるという意識で勉強してほしいと思います。そして、普段から国際問題に興味を持ってください。

グローバル・ヘルス・ガバナンスの研究テーマに取り組む

安田佳代先生の専門は国際政治、とりわけ開発途上国などの保健衛生問題を国際社会全体で解決しようという「グローバル・ヘルス」のガバナンスに関する研究を中心に進めている。

安田先生によれば、グローバル・ヘルスはこれまでしばしば政治とは関係のない“ノン・ポリティカル”な国際協力事業として扱われてきた。しかしながら先生の考えでは必ずしもそうとは言えず、国家が政治的課題として関与するポリティカルな部分も大きいという。グローバル・ヘルスが国際政治と関わることで生まれるプラスの面を生かし、国際社会をより良くしていくために役立つ知見を得ることが研究の長期的な目標だ。安田先生は2016年5月の伊勢志摩サミットに向けたグローバル・ヘルスのワーキンググループにも参加した。

安田先生がグローバル・ヘルスに興味を持ったきっかけは歴史だった。20世紀初め、国際連盟の下でも保健問題はノン・ポリティカルなテーマと捉えられていたが、実際には政治と密接に関わり合っていた。その点への関心が研究の出発点になったという。「日本は、1933年に国際連盟を脱退してからも保健分野の活動には関わっていました。その日本政府の意図がどこにあったのかを研究するのが修士論文のテーマでした」と安田先生は言う。

現代を見ても、先進諸国は政治的テーマとして保健外交に力を入れている。しかし各国の支援は世界保健機関(WHO)を中心とするグローバルなガバナンスと整合性があるとは必ずしも言えない。そこで安田先生は、先進諸国の保健外交に焦点を当て、複数の国の取り組みを比較する研究を行っている。「保健問題が自国の安全保障に関わるケースが増えてきたことも、各国独自の保健外交が活発化している背景にあります」と先生は指摘する。

文献をもとに多様な意見を出し合いディスカッションを進める

ゼミでは、グローバルな問題に対して国際社会がどう取り組んでいるのかを知るところから始める。取り組みにはプラスとマイナスの両側面があるが、その双方を知り、現在のグローバルイシューに対する現状を理解してほしいと考えている。英語の文献を毎回のゼミで読み進め、交代で務める報告者がゼミ冒頭で文献の概要や議論すべき点についてプレゼン。他の学生たちも各自が準備段階でポイントを考え、それらを踏まえてディスカッションが展開される。1年間のゼミで1冊を丁寧に読み解く。


ゼミでの発表、ディスカッションの一コ

「発想や問題意識はそれぞれなので、学生の数だけ様々な論点が提示され、自由なディスカッションが行われます。その学生たちのディスカッションをコーディネートすることが、ゼミでの私の役割だと考えています」。議論が白熱し、時間をオーバーすることも少なくない。それに加えて、先生の視点から幅広い知識を学生たちにシェアすることもある。

「国際社会で取り組む問題に正解はありません。先入観をぬぐい去って、何事もまずは正しい知識を得て、理解すること。他人の意見も踏まえたうえで自らの意見を形成し、国際政治を分析できる視点を養ってほしいというのが、学生に対する私の思いですね」