応用物理学

応用物理学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、応用物理学に関する興味を広げよう。

物理理論を基に新技術開発を進める

何が学べるのか

物理学とは、マクロな宇宙からミクロな素粒子までを取り扱い、あらゆる物質の構造と、それらが示す性質や現象を支配する法則を明らかにする学問である。そのため、理想的な条件下での実験・思考を行うことが多い。

これに対して、応用物理学は、物理学で得られた成果を、産業や社会の発展を支える工学技術への応用をめざす学問である。この分野を学ぶには、物理学や数学などの基礎をしっかり修得する必要がある。そのうえで、あらゆる物理現象を解き明かし、科学技術に関連の深い物理の諸分野を体系化する。得られた物理の原理や理論を基に、社会に役立つ技術の創造や既存の技術の改良を行うなど、より現実的な問題を対象とした学問である。

このように、物理学と応用物理学とでは、研究の目的が異なっていることに注意しなければならない。

例えば、半導体の分野では、応用物理学の研究からトランジスタが生まれ、新たに半導体物理学という学問分野が誕生した。半導体物理学がLSI(大規模集積回路)技術を開発したことは、現在のIT産業発展などの契機となった。このように、基礎学問と技術開発は密接に関わり合っている。

応用物理学の研究分野は多岐にわたる。そのなかで代表的な分野を挙げると次の 3 つがある。

(1)半導体・超伝導などの性質を研究する「物性物理」

(2)電子素子物理や電気回路について研究する「計測・エレクトロニクス」

(3)情報理論や計測制御理論、数理モデルなどに基づく「情報・制御」

これ以外にも様々な分野があり、また各分野のなかでも実際の研究テーマは細分化される。

大学で開講されている科目も、半導体デバイスや電力発生工学、材料・プロセス工学、シミュレーション工学、高分子工学、情報伝送工学など純粋物理学とは違った、工学的要素の強い科目が多い。

工学や数学、生物学、農芸化学などにも領域を広げ、新たな学問的発見が新技術の基礎となり、産業が発展する。その新技術によってまた新しい学問分野が生み出される。応用物理学とは、発見と応用・開発の繰り返しのなかで、さらなる発展を続ける学問である。

学べる学科

  • 応用物理学科
  • 物理工学科
  • ナノサイエンス学科
  • 電子物質科学科
  • 電子物理工学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

連続して行われる演習と実験で理解を深めます

名古屋工業大学 工学部 環境材料工学科 材料機能系プログラム※ 3年
M・Uさん(愛知県立知立東高校卒)

3年前期 MON TUE WED THU FRI
1 材料機能工学演習I 行政政策
2 材料強度学 材料機能工学実験I 機能創生プロセス
3 電子機能材料 構造・機械材料
4 システム材料学
5

ひと言コメント

「材料機能工学演習」では、次に行う実験の原理の確認や、関連のある英語の論文を読み、それに続く「材料機能工学実験」で、実際に体験します。炭素鋼の観察や半導体の蛍光X線による元素分析や気相の拡散係数の測定などの様々な実験は、 5 人の少人数のグループで協力しながら取り組めて楽しいです。これは同時に卒業研究に向けて実験装置の使い方を学ぶ場にもなります。また「構造・機械材料」では鉄鋼材料について学修。材料に熱処理を加えたときの組織やグラフの読み方、合金元素の添加により得られる特性など、より専門性が高く興味深い内容です。スライドで図や表を見ながら授業が進められるので、より理解を深められます。空き時間は課題などに取り組んでいます。

※2016年 4 月より物理工学科 材料機能分野に改組されています。

気になる授業

室蘭工業大学 工学部(昼間) 応用理化学系学科 応用物理コース

応用物理学実験A

応用物理学の研究を行う際に必要となる基礎知識と汎用的な測定装置の使用方法を学ぶ。具体的には、電動モーター実験、金属の比熱測定、RC回路を用いた過渡現象、LC回路による共振現象の観察、半導体ダイオードの基礎特性などの実験を行う。

誘電体物理学

コンデンサーやセンサー、メモリー素子材として重要な材料である誘電体材料の物理的な性質を理解。誘電体の物性、分極の分類と構造、変動電場における誘電体の特性、強誘電体特性、ピエゾ電気、焦電効果などをテーマに学習する。

振動・波動論

一定の状態で同一の状態を繰り返す振動、そして振動状態が時間とともに物質や空間中に伝わる現象である波動について、数学的表現を学ぶ。フーリエ級数、運動方程式、波動方程式などの授業を通して、身の回りや自然界の振動・波動の原因を分析できる知識を修得する。

将来のフィールド

主な活躍の場

電気・電子、通信・コンピュータ関連 金属、鉄鋼、自動車 情報関連 など

理学・工学双方の内容を横断した知識が身につけられるという特性があり、応用も利くので、卒業後の進路は幅広い。電気・電子機器、通信・コンピュータ関連、金属、鉄鋼、自動車など、様々な分野で研究者・技術者として活躍している。

ほかの理工学系学部・学科と同様、より高いレベルの研究を希望する学生が多く、大学院へ進学する卒業生の割合は高い。

また、データ分析能力を生かし、金融や保険業界など一見すると畑違いな分野で活躍している人もいる。

めざす資格・受験資格など

危険物取扱者(甲種・乙種・丙種) 放射線取扱主任者 中学校・高校教諭₁種免許 エネルギー管理士 技術士(補) 消防設備士

こちらから大学情報を検索できます。

学びの最前線を知る!

イマナビ ノーベル物理学賞を受賞した「青色LED」

2014年のノーベル物理学賞は、青色発光ダイオード(LED)の開発に関して、赤﨑勇・名城大学終身教授、天野浩・名古屋大学教授、中村修二・米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の 3 人が受賞した。

発光ダイオードとは、電圧をかけると光を放つ半導体素子。赤色や黄緑色のLEDは早い段階で開発されていたが、「青色LEDの開発は20世紀中には不可能」とさえいわれていた。その壁を破ったのが赤﨑氏と天野氏。窒化ガリウムを用い、明るい青色の光を放つのに成功した。そして中村氏は量産化への道を開き、当時在籍していた企業が青色LEDを製品化。赤・緑・青の 3 原色が揃ったことで、白色を含むフルカラー表示が可能になった。LEDは電気を直接光に変えるためエネルギー損失が少ない。地球温暖化防止にも貢献する省エネのLED照明も開発された。素子自体が光るため機器の小型・軽量化にも貢献している。また、ディスプレイ・照明以外の用途として、ブルーレイ・ディスクのデータの書き込みにも青色レーザーが使われている。さらに現在では、青色よりも波長の短い紫外線領域のLED開発が活発化しており、殺菌効果を生かした空気清浄などに利用されている。