通信・情報工学

通信・情報工学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、通信・情報工学に関する興味を広げよう。

ハード・ソフト設計から通信・情報処理まで

何が学べるのか

スマートフォンや携帯電話、タブレット端末は、なくてはならない生活必需品となっている。Wi-Fiの対応地域の拡大やクラウド化も進み、いつでもどこでも大量の情報にアクセスできる。オンラインゲームやネットショッピングは遊び方や経済システムの在り方まで変えた。健康管理のできる腕時計型端末や、地図、店舗情報を実像と重ねて写すメガネ型のウェアラブル端末も発売。高齢者の安全運転に役立つ自動車の自動運転システムなどは公道での社会実験が進んでいる。さらにモノとモノがインターネットで結ばれるIoT(Internet of Things)は、第 4 次産業革命ともいわれている。人類の未来を劇的に変える主要な原動力となるのがこの学問領域だ。

通信・情報工学系の学部・学科は、一般に 3 つに分類される。 1 つ目はコンピュータのハードウェアとソフトウェアおよび通信工学を含め、コンピュータと通信の総合的な観点から情報伝達の環境や技術の向上・応用を考える学科。電気・電子系の色合いが濃く、膨大な量のデータ通信において、高速かつ安定した光通信やモバイル通信、端末機器と結ばれたクラウド型のコンピュータ相互通信などを研究する。 2 つ目が情報そのものをテーマとする学科で、理学部などによく見られる。情報とは何かという根源的な問題や、情報の扱い方やアルゴリズムなどを計算機数学や数理科学、確率・統計学、生命情報、ソフトウェア科学などをベースに学ぶ。高度情報化社会を守るセキュリティに関連する暗号理論や符号理論などの理論も研究する。 3 つ目は情報を様々な産業に役立てる方法を考える学科で、産業の現場や経営で情報を役立てるためのシステムや機器の開発に取り組む。この分野は管理工学や経営工学と関連性が強い。

これからの通信・情報処理分野では「あやふやな情報の処理」が重要となる。これは、“感性”を含む人間の頭脳の働きをハードウェアで実現するとともに、人間が使用する言語や音声、画像を使ってソフトウェアを作製し、人とコンピュータの対話をより容易にしようという研究だ。ほかにも、プロジェクションマッピングやBlu-rayなどの画像・光工学、人間の脳の情報処理システムを解明する認知科学、人工知能を工学的に応用する知識工学など、研究領域は今後ますます広がっていく。

学べる学科

  • 情報工学科
  • 情報通信工学科
  • 情報科学科
  • 情報システム工学科
  • コンピュータ科学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

コンピュータやプログラムに関する幅広い知識が学べます

金沢工業大学 工学部 情報工学科 4年
A・Iさん(新潟県 私立東京学館新潟高校卒)

3年前期 MON TUE WED THU FRI
1 分散システム デジタル通信と信号処理 コンピュータ アーキテクチャ設計 オペレーティング システムII
2 コンピュータ グラフィックス 映像メディア処理 科学技術者倫理 ソフトウェア工学II
3 情報工学専門実験・ 演習A 進路セミナー
4 日本国憲法 数学科教育法I
5 教育方法・技術論

ひと言コメント

主にC言語とJavaを用いたプログラムを基本に学科の授業が構成されています。「情報工学専門実験」では、その演習としてAndroidアプリや組み込みプログラムなどの自由課題に取り組めるため、各科目で学んできたことを実践に生かせます。「コンピュータアーキテクチャ設計」では、コンピュータの計算処理を担うプロセッサの基本ハードウェア設計法を学習。「コンピュータグラフィックス」ではOpenGLによるプログラミングによって実際にCG作品を作成します。ネットワーク構築や映像処理など幅広い知識を学ぶなかで、自分の関心のある新たな分野を見つけられます。また、情報系は離散数学に関わる科目が多く、繰り返し学ぶことで離散数学のスキルを養っています。

気になる授業

芝浦工業大学 工学部 通信工学科

情報理論

情報理論のなかでも誤りを生じる通信路で、情報を正しく伝送するための誤り訂正符号の理論(符号理論)に焦点を当て、理論の原理と限界を学ぶ。さらに、パリティ符号、ハミング符号、巡回符号などの基本的な符号化方式について、具体的な演算方法とともに学習する。

マルチメディアシステム工学1

音と画像を主要な対象とする情報通信システムの技術に重点を置いて学ぶ。人間の聴覚、音声、視覚などの感覚についての特性を工学的に理解することからはじめ、波形伝送システムの系統的な基礎知識などを通して、広く用いられているシステムについて理解する。

宇宙通信工学

天体力学、電波伝搬、通信方式など、人工衛星システムや、衛星通信・放送システムが働く原理を理解する。近年、進展のめざましいディジタル通信・放送の技術に重点を置き、BSディジタル放送の仕組みといった最新の衛星通信・放送システムについても学ぶ。

将来のフィールド

主な活躍の場

IT関連企業、ソフトウェア開発会社 電機・電子機器・コンピュータメーカー 銀行、商社、サービス関連企業 など

どのような業種においても、情報化・通信環境の充実は非常に重視されており、通信・情報工学系出身者に対する期待は大きい。システムエンジニアやプログラマーなど直接情報に関わる職業はもちろん、あらゆる分野の企業に道が開かれているといえる。

また、大学院に進学する学生も増加しており、大学によっては進学率が 7 ~ 8 割に達しているケースもある。大学院修了後はIT関連企業などで研究・開発に携わる。

めざす資格・受験資格など

電気通信主任技術者 総合無線通信士 ITパスポート試験 情報検定(J検) ネットワークスペシャリスト 基本情報技術者試験 技術士(補)

こちらから大学情報を検索できます。

学びの最前線を知る!

イマナビ 人工知能が人間の能力を超える!?

今、人工知能(AI)が急激に能力を高めている。Google DeepMind社が開発した人工知能「AlphaGo(アルファ碁)」は、世界トップクラスの囲碁棋士イ・セドル氏とハンディキャップなしで戦って勝利し、世界が驚いた。AIはほかにも、公道での社会実験が始まった自動運転自動車、質問を語りかけるだけで音声で回答してくれるスマートフォンのアプリケーションなど、実社会で活躍中だ。

こうした劇的なAIの進化を支える技術が、機械学習とディープラーニング。機械学習は、ある事象に関するデータを解析し、その傾向を学習することで、判断や予測を行う技術。これをベースに、人間の脳の仕組みをヒントにしたニューラルネットワークを駆使する手法がディープラーニングである。機械学習ではデータの特徴を人間が指定する必要があったが、ディープラーニングでは膨大なデータの特徴を自動的に抽出・学習するため、新しい知識や概念を自ら学び取り、劇的に成長できる。このままAIが進化すれば、2045年にAIの能力が人間以上になるとの予測もある。AIの性能が人類の知性を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」が起こり、人間がAIに使われる時代が来る……そんな仮説も現実味を帯び始めた。果たして、人類とAIは共存できるのだろうか?