航空・宇宙工学

航空・宇宙工学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、航空・宇宙工学に関する興味を広げよう。

先端テクノロジーで大空をめざす

何が学べるのか

2015年11月に初飛行を果たした初の国産旅客ジェット機『MRJ』。燃費の良さと客室の快適さを特徴とする次世代の近距離旅客機として注目度は高く、すでに400機以上を受注。ほかにも、人類初の小惑星「イトカワ」からの微粒子を持ち帰った「はやぶさ」の快挙や、H-IIAロケットが国産初の商業衛星の打ち上げに成功も記憶に新しい。

これらの先進的な技術の進歩を支えた原動力は、何といっても航空・宇宙工学の発展である。環境に配慮したジェット旅客機や無人惑星探査機なども、今では当たり前の存在に思えるが、これらは実に高度なシステムの集合体であり、それらの一つひとつが複雑な先端技術に裏打ちされていることはいうまでもない。

航空工学は優れた航空機を開発するための工学であり、宇宙工学は宇宙開発に関連した技術を開発するための工学である。それぞれの目的は異なるものの、航空・宇宙工学系には、流体力学・推進工学・構造力学・制御工学などの知識が必要となる。流体力学は、空気流の解析や揚力、抵抗などの計算、風洞実験などを行う。推進工学では、航空機やロケットの飛行に必要なエンジンなどの開発や研究を行う。構造力学では、機体の設計や軽量で強固な素材について研究する。制御工学では、機体の姿勢制御や軌道制御のためのシステムを追究する。

これらの基礎的な分野を軸にしながら、熱力学や電子回路工学などの様々な研究を通して、航空機やロケットが生み出されるので、学習すべき内容は非常に広範囲にわたる。さらに、進歩が著しい分野ということは、既存の技術がすぐに過去のものとなってしまうことを意味するだけに、つねに新たな可能性にチャレンジする姿勢が要求される分野ともいえるだろう。

近年の環境や安全性に対する関心の高まりのなかで、低騒音で燃料効率が高く、さらに安全な航空機に対するニーズは高まっている。また、宇宙開発では、「はやぶさ 2 」などの探査型だけでなく、国際宇宙ステーション計画のような滞在型の計画も進められており、研究すべき課題は数多く残されている。創造的な視点と好奇心を持って取り組んでいけば、巨大かつ極めて精密なシステムづくりのおもしろさに出合える研究分野であることは間違いないだろう。

学べる学科

  • 航空工学科
  • 航空宇宙工学科
  • 航空システム工学科
  • 宇宙航空システム工学科
  • 機械・航空宇宙工学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

学年が上がるにつれ航空宇宙工学を学ぶ実感がわきます

首都大学東京 システムデザイン学部 システムデザイン学科 航空宇宙システム工学コース 4年
R・Kさん(長崎県立諫早高校卒)

3年前期 MON TUE WED THU FRI
1 制御プログラミング演習 航空宇宙情報システム工学
2 材料組織学 数値解析演習 数値流体力学 1 推進工学 1 弾性力学
3 熱力学演習 航空宇宙制御工学 宇宙機制御工学 航空宇宙工学実験 1
4 熱輸送工学 空気力学 1
5

ひと言コメント

飛行機がとにかく好きだったことが、この学問を学びたいと思った一番の理由です。システムデザイン学科は 1 年次で「数学」や「物理」などの基礎科目、 2 、 3 年次で「流体力学」や「制御工学」といった専門科目というように、学年が上がるにつれ航空宇宙工学を学ぶ実感が持てるカリキュラムになっています。また、授業で小型の飛行機やロケットをつくるなど、座学で学んだ知識を実践できる場があるのも、この学科の魅力です。 4 年次になると研究室に配属され、一人ひとり異なるテーマを決め研究を行います。特に本学は、教員 1 人あたりの学生数が少なく、卒業研究の指導、各イベントへの自主的参加、海外留学のチャンスなど、研究室配属後の生活が充実しています。

気になる授業

東京大学 工学部 航空宇宙工学科

航空機力学第二

航空機の運動方程式を導き出すとともに、航空機に作用する外力をモデル化し、運動方程式を線形化する方法を学ぶ。航空機の飛行力学や運動方程式、空力特性などを学習した後に、線形化された運動方程式から機体の運動特性を解析する方法を理解する。

空気力学第三

空気には圧縮性があり、これを考慮した流体力学の基礎を主に理論的・解析的に修得。「等エントロピー流れ」「垂直衝撃波」といった一次元流、「斜め衝撃波」「プラントル・マイヤー流れ」といった二次元流などのテーマに取り組む。熱力学的な考え方も取り入れて学ぶ。

航空機設計法第一

航空機概念設計の初歩として、設計する航空機の緒元を策定し、機体の三面図(初期案)を作成する。航空機における各部品の一般的な配置や胴体、主翼、尾翼、二次元翼空力設計など学び、航空機を設計するために必要な事項を理解していく。

将来のフィールド

主な活躍の場

航空機メーカー・航空会社 航空宇宙関連の研究所・団体 官公庁 自動車・電機メーカー など

他の工学系以上に大学院志向が強く、なかには学部卒業生の 7 ~ 8 割が進学している大学もある。研究職や大学教員をめざす人が多いのも特徴といえるだろう。関連の官公庁などへの進出も多い。上記のほかに、精密機器メーカー、鉄道関連企業、ソフトウェア開発企業など、研究を通じて得た知識が活用できる職種は幅広い。パイロットや航空整備士などの資格取得をめざす人も多いようだ。

めざす資格・受験資格など

航空整備士(一等)、航空整備士(二等) 航空運航整備士(一等)、航空運航整備士(二等) 航空工場整備士 事業用操縦士 定期運送用操縦士 技術士(補)

こちらから大学情報を検索できます。

学びの最前線を知る!

イマナビ 半世紀ぶりに国産の旅客機がテイクオフ!!

現在、アメリカでの飛行試験がスタートしている三菱リージョナルジェット(MRJ)。MRJは、国産旅客機としてはYS-11以来約半世紀ぶり、ジェット旅客機としては我が国初となる最新鋭の航空機だ。リージョナルジェットとは、旅客席が100席以下で、比較的短距離の地域路線向け小型ジェット旅客機のこと。その需要は急速に拡大しており、旅客数の伸びが続く航空業界でも特に熱い市場となっている。ただ、先行する海外の 2 社が市場を先導。そこでMRJは、世界最先端の空力設計技術や騒音解析技術、環境対策技術などを取り入れ、大幅な燃費低減と騒音・排ガスの削減を実現。この圧倒的な運航経済性と環境適合性によって、MRJを導入したエアラインの収益力と競争力を向上させる。さらに乗客には、広くスタイリッシュな設計によって快適な空間を提供できる。環境と運営企業と乗客に優しい新性能で世界市場のシェア50%を狙う。

科学技術立国をめざして「科学技術イノベーション総合戦略」を掲げる政府は、次世代産業として航空・宇宙分野に力を入れており、MRJはその象徴でもある。今後、飛行試験を継続的に実施し、2018年以降に量産初号機納入を予定。世界中の空でMRJの美しい姿を見る日も遠くない。