生物学

生物学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、生物学に関する興味を広げよう。

生命についての法則を探究する

何が学べるのか

生物学は人間・動物・植物・微生物・ウイルスなど、すべての生命体を対象に、自然界での活動の解明や、個々の生体内における生命現象の解明をめざし、生命についての法則を探究する学問である。

この学問は基礎的な研究を目的としており、その成果が近年、生物工学などに応用されつつある。そして、50年先、100年先における生物工学、あるいは医学の柱へとつながる分野であるといえる。1950年代にDNAの構造が明らかにされたことによって、現在の遺伝子工学が全盛を迎え、さらには遺伝子治療という概念が生まれたことは、ひとつの例である。

具体的な研究分野としては、生物を様々な所属に分けて系統的に分類する分類学、生物の進化をたどる進化学、生物の生態と環境との関連を研究する生態学、生物がなぜそのような行動をとるのかを研究する行動学など、マクロな視点から対象にアプローチする分野がある。

一方で、生物の内部の器官や、細胞の特徴を研究する形態学、生体を構成する物質やそれらの代謝の仕組みを探る生化学、生体・組織・細胞における恒常性を維持する機構を探る生理学、生命の誕生や器官形成の仕組みを探る発生学、遺伝子の変異が生物に与える影響からその遺伝子の役割を探る遺伝学、細胞間のコミュニケーションや、細胞そのものの成り立ちを探る細胞生物学、そして細胞が生きていく仕組み、生命現象を分子レベルで解明しようとする生命科学や分子生物学などのミクロの視点から対象に迫るものまで、アプローチは様々である。

また、ほかの学問分野として、クローン、再生医療、ゲノム科学、環境保全、遺伝子改変など、様々な実用学問分野と融合した学際科学がある。

しかし、ここに列挙したような研究分野は、おのおの独立したものではない。例えば、トカゲの尻尾の再生を扱う場合は、遺伝学や分子生物学、細胞生物学、生化学、発生学などの領域にまたがる。このように、分野の名称は主観的・便宜的なものになってきている。したがって柔軟な観点と広い視野で、生物全般に興味を持つことが大切である。また、学問の研究内容も人間から動物、ウイルスなどまで含まれ、幅広い。自分の興味ある分野が志望する大学で学べるか調べることも必要だろう。

学べる学科

  • 生物学科
  • 生物科学科
  • 生命化学科
  • 生命科学科
  • 応用生物学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

生命にまつわる謎を解き明かすおもしろさを日々感じています

兵庫県立大学 理学部 生命科学科 生体物性コース 4年
S・Mさん(兵庫県 私立賢明女子学院高校卒)

2年前期 MON TUE WED THU FRI
1 力学A 有機化学II 応用解析 分子生物学 1
2 生物化学 2 無機化学II 細胞生物学 2 情報科学I
3 物理化学I 物理学実験※化学実験※生命科学基礎実験I※ 物理学実験※化学実験※生命科学基礎実験I※ 物理学実験※化学実験※生命科学基礎実験I※ 細胞生物学 3
4 分析化学I
5 天文学

ひと言コメント

タンパク質の構造解析や、生命現象の数理物理的解析に興味があったことから、兵庫県立大学理学部に進みました。兵庫県立大学は「生物学科」ではなく、より分野の的を絞った「生命科学科」だったことも志望の決め手となりました。今は、生体物性(生物物理)を専攻し、厳密な分子の挙動を調べ、生命現象を定量、定式的に解析することにおもしろさを感じています。また、研究の過程では必要に応じて、生物学や物理学、化学、情報学、数学などを学び、それらを武器にさらに解析技術を深めていくことができます。生命科学分野を学ぶうえで必須であるタンパク質やその現象を一通り学ぶ「細胞生物学 3 」など、魅力的な授業がたくさんあります。

気になる授業

東邦大学 理学部 生物学科

系統分類学

生物の多様性を発見し、記載し、命名し、整理・体系化する系統分類学の基礎知識を修得。生物の分類に注目し、その背景や実際の方法論を学ぶほか、動物を中心にその多様性についても理解を深める。さらに、ヒトを含む脊椎動物の基本的な形態学的特徴について考察する。

進化生物学

生物の存在を進化という観点から考えると同時に、進化の科学的思考を身につける。フォッサマグナ地帯の進化学的重要性、遺伝的変異の起源、発生プログラムの進化、集団の構造と遺伝的浮動、自然集団における自然選択と適応の実証、系統地理と種分化などをテーマに学ぶ。

細胞・組織学実習

 顕微鏡の使用法に習熟するとともに、細胞を扱う技術や組織の染色法を学び、観察用標本をつくる技法を修得。細胞や組織構造の観察を通じて、分化した細胞が機能的につながって組織を形成し、さらに器官、器官系、固体へと発展していくことを理解する。

将来のフィールド

主な活躍の場

製薬・食品・化学工業関係など研究職 医薬品メーカー 卸・小売業 中学校・高校教員 公務員 など

大学院に進む人の割合が高く、卒業生の半数以上が進学するというケースも少なくない。

主な就職先としては、学んだ専門知識や実験技術を生かせる製薬・食品・化学工業関係の研究職が挙げられる。卸・小売業、マスコミ、サービス、コンピュータ関連会社、中学校・高校教員、公務員なども比較的多い傾向にある。また、官庁や研究所などに進む人もいる。

めざす資格・受験資格など

臨床検査技師 中学校・高校教諭 1 種免許 ビオトープ管理士 放射線取扱主任者 バイオ技術者認定試験

こちらから大学情報を検索できます。

学びの最前線を知る!

イマナビ 「オートファジー」の解明に、ノーベル生理学・医学賞

2016年のノーベル生理学・医学賞は、東京工業大学の大隅良典栄誉教授に授与された。受賞理由は「オートファジー(自食作用)のメカニズムの発見」。オートファジーとは、ギリシャ語の「オート」(自分)と「ファジー」(食べる)を組み合わせた言葉で、細胞に核のあるすべての生物に備わる生命の基本的な仕組み。例えば、栄養が足りない状態になった細胞は、生き残るために自分自身のタンパク質などを分解して、新しいタンパク質の材料やエネルギー源として利用する。また、不要になったタンパク質は分解して、リサイクルする。この現象は1950年頃から知られていたが、具体的なメカニズムや生体内での役割は謎だった。大隅博士は1980年代、酵母を使った研究で、世界で初めて光学顕微鏡でその現象を観察。その後、オートファジーに必要な遺伝子を次々と明らかにし、その仕組みを生化学的に解き明かした。

オートファジーは、がんや糖尿病、パーキンソン病などの神経の病気の一部に関係があるとされ、新しい予防法や治療法の開発競争が世界中で激化している。「人がやらないことをやろう」と研究を続けた大隅博士。受賞会見では「あれっ?と思うことがたくさん世の中にはある。そうした気づきを大切にしてほしい」と語った。