化学

化学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、化学に関する興味を広げよう。

多様な物質の多彩な変化を探究する

何が学べるのか

化学とは、物質とその変化の仕組みを研究して自然認識を深め、人間社会に有用な新しい物質や理論をつくり出していく学問である。

生物の生命現象も、様々な化学反応によって支配されている。「活性酸素がなぜ有害なのか?」「環境ホルモンでオスがメス化するのはなぜか?」などの疑問を解き明かすのにも、化学の知識が不可欠である。2010年に根岸英一、鈴木章、リチャード・ヘックの 3 氏がノーベル化学賞を受賞して話題になった「クロスカップリング」とは、有機化学の基礎となる炭素同士を効率よく結合させる技術のこと。この技術により、革新的な物質を容易に手に入れられるようになった。

高校までの授業では、多くの化学反応や、物質の性質を学習してきたが、大学での研究は、そこからさらに発展し、化学を本格的に学んでいくことで断片的な知識が整理され、自分自身で「発見」した新しい知識を体系化する楽しさに出合うだろう。

大学で学ぶ化学はいくつかに分類できるが、大きく分けて基礎化学と応用化学に分けることができる。

基礎化学には、有機化学、無機化学、物理化学、分析化学などが挙げられる。有機化学では、炭素、水素などを含む物質の合成・反応・変化を研究する。無機化学では、金属、鉱物、ガラスから放射性物質まで、無機物質を対象とした研究を行う。物理化学では、物質の構成や状態および変化について、新しい手法を用いて化学反応のメカニズムを理解し、反応理論をつくり出す研究を行う。分析化学では、微量の物質を計測し、解析したり、そのための機器や手法を研究し開発する。一方、応用化学には、農芸化学・薬化学・環境化学などの分野がある。

化学の領域は広く、自然科学の各分野と接点を持っている。バイオ、医療機器、環境問題、エネルギーなど、あらゆる分野で化学的素養は必要とされている。細分化・専門化された部分があると同時に、多様な部分を融合する必要もあるため、広い視野と深化した専門知識が必要とされる分野といえる。

基礎重視あるいは応用重視の学部・学科であるかによって、専門課程で学ぶ内容が若干異なるので、事前に講座、研究室などをよく調べておく必要がある。

学べる学科

  • 化学科
  • 基礎化学科
  • 物質生物科学科
  • 化学・生命化学科
  • 機能分子化学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

この世界のすべては化学から成り立っているという意識で学んでいます

岡山大学 理学部 化学科 2年
M・Kさん(大阪府 私立大阪女学院高校卒)

2年後期 MON TUE WED THU SAT
1 有機化学IV 錯体化学I 現代コミュニティーと地域社会
2 物理化学II 無機化学II 量子化学II 総合英語 5(リスニング)
3 総合英語 5(プレゼンテーション) 分析化学II
4
5

ひと言コメント

化学科では、化学全般に関する内容を学修することができます。この世界を形づくる原子や化学反応について学び、新たな視座を得られるということに魅力を感じています。一般教養科目が主体になる 1 年次に比べ、 2 年次は専門科目が主になり、難しくなった印象があります。授業で理解できなかった部分については、積極的に自習をしたり、先生に質問に行ったりすることが大切だと思います。また専門科目以外では、「キャリア形成」などの授業もあり、ペアワークやグループワークを通してコミュニケーション力を養いました。毎時間、条件を変えてグループをつくるのでメンバーが異なり、いろいろな人と一緒に作業を行ったのも新鮮でした。

気になる授業

東京理科大学 理学部第一部 化学科

物質化学

化学物質は原子分子の様々な凝集体であり、凝集構造の秩序・内部の特異な相互作用・電子状態・分子運動に由来する性質を示す。授業を通じて、分子間力と凝集構造の関係、物性の基礎および機能材料としての物質の各論を学び、化学物質の基本的かつ総合的な理解を深める。

材料化学 1

高分子材料を歴史的・産業での有用性などの観点から学習するとともに、生体に接するバイオマテリアル・ドラッグデリバリーシステム(DDS)の応用の知識を修得する。さらに、分解性材料を通して環境問題との関連や、機能性高分子材料の種類などについても学ぶ。

表面物理化学

固体表面の構造とその多様性、原子・分子の吸着と脱離など、より優れたデバイスや触媒を開発するために基礎となる、超高真空環境下での表面物理化学の概要を学ぶ。表面構造解析、表面電子状態解析など、表面物理化学の研究で用いられる様々な実験手法も学ぶ。

将来のフィールド

主な活躍の場

化学産業 製薬・化粧品・食品メーカー 研究職 中学校・高校教員 など

卒業後の進路は広く、一般化学産業以外にも、製薬・化粧品メーカーのほか、食品などの商品開発を行う企業にも就職している。

技術者や研究者など、専門家として就職を希望する場合、大学院でさらに専門性を深めていくことになる。

卒業後は、大学や国立機関の研究職、あるいは民間企業の研究所などで研究者として活躍する道がある。そのほか、中学校・高校教員をめざす人も多い。

めざす資格・受験資格など

危険物取扱者(甲種・乙種・丙種) 毒物劇物取扱責任者 中学校・高校教諭 1 種免許 環境計量士

こちらから大学情報を検索できます。

学びの最前線を知る!

イマナビ 天然に潜む菌が病気から人類を救う

2015年のノーベル生理学・医学賞に輝いた大村智博士。微生物がつくり出す有用な化合物を次々に発見し、熱帯地域の風土病に効く薬などの実用化、医療や創薬の発展に大きく貢献。特に大村博士が発見したエバーメクチンは家畜などに寄生する寄生虫駆除に劇的な効果のある動物医薬品「イベルメクチン」として製品化され、その後、失明に至る眼障がいを発症する河川盲目症の治療薬「メクチザン」として全世界で販売されるようになった。副作用も少なく、一度の投与で1年ほど効果が持続するため、「奇跡の薬」と呼ばれている。アフリカなどでは1987年から無償供与され、年間 3 億人を失明の恐怖から救ったとされる。

大村博士の研究は、天然物化学の分野。微生物や海洋生物など膨大な天然資源から、ターゲットとする疾病に対する活性や機能を持つ化合物を見つけ出し、分析化学などで分子構造を特定、さらに合成までを研究する。イベルメクチンの元となった放線菌は、静岡県内のゴルフ場近くの土壌中から見つかり、失明の原因となる熱帯病に効く画期的な特効薬開発へとつながった。「私は微生物の力を借りただけ」との大村博士の言葉が、自然物の持つ力を人類に役立てる天然物化学の神髄を語っている。