物理学

物理学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、物理学に関する興味を広げよう。

自然界を支配する法則を解き明かす

何が学べるのか

物理学は、宇宙をはじめとして地球、身の周りの物質、さらには素粒子の世界に至るまで、自然界のすべての現象を理解しようとする学問である。

17世紀にニュートンが力学を大成し、熱力学や電磁気学など、古典物理学と呼ばれる分野は19世紀までに確立された。20世紀に入ると、アインシュタインによる相対性理論が時間と空間の概念を一変させ、続いて微視的な世界を支配する量子力学が生まれた。これら20世紀に発展した分野は現代物理学の根幹となっている。

大学で学ぶ物理は高校で学んだ物理とどう違うのだろうか。高校では、既知のものとして公式や法則を与えられ、それらを用いて物理現象の大筋を理解してきた。一方、大学では自然界に存在すると考えられる根本的な原理から出発して、物理法則が導かれるまでの過程を理論的に厳密に学ぶ。そのような学習を積み重ねることで、物理学的な感覚と思考力が養われていく。

物理学の研究分野には以下のようなものがある。

原子・素粒子物理学では物質を構成する原子や素粒子などの世界を対象に研究。素粒子物理学では、最後の素粒子「ヒッグス粒子」を発見、性質の解明など今後の研究も期待される。物性物理学では電子や原子などの運動から物質の性質を明らかにする。科学技術と密接に結びつき、半導体や超伝導などに応用される。宇宙・天体物理学では物理学を用いて、宇宙の誕生やブラックホールなど、多様な現象を研究する。

物理学の研究手法は 2 つに分けられる。実験系では、未知の物理現象の発見や理論的に予測されている現象の実験的検証を目的として様々な手法を用いた実験、観測を行い、自然界で生じている現象を解明する。一方、理論系では数学を言語として用いる。数学を言語とした理論の構築、あるいはコンピュータを用いたシミュレーション計算などを行い、実験で得られた結果について理論的な解釈を与えたり、モデルを仮定しその結果として生じる物理現象についての理論を数学的に構築したりする。

21世紀の物理学は、科学技術への応用がさらに多様化するだろう。そうしたなか、基礎的研究の積み重ねから新しい革命的な技術や理論が生まれ、それらが発展していくことも大きく期待される。

学べる学科

  • 物理学科
  • 物理科学科
  • 数物科学科
  • 物質科学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

物理はミクロからマクロまで様々なスケールを味わえます

名古屋大学 理学部 物理学科 3年
H・Oさん(岐阜県立加納高校卒)

3年後期 MON TUE WED THU FRI
1 原子核物理学II 化学物理学 物性物理学II 素粒子物理学I
2 宇宙物理学II 量子力学III 電磁気学特論 統計物理学III 一般相対論
3 物理学演習IV 物理学セミナーIV- 1 a 物理学実験II 物理学実験II
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ひと言コメント

名古屋大学の理学部は、 1 年次は学科に属さず、全学共通の授業を受けた後、 1 年次の最後で自分の進みたい学科を決めます。私は宇宙というマクロなスケールから原子核や素粒子などミクロなスケールまで、幅広い視点を持てる物理学科を選択。 3 年次に受けた「物理学実験」では、主に教科書にあるような現象を、実験によって定量的に評価するスキルを磨きます。不確かさの計算では、考えられる誤差をきちんと考慮する必要があり、実験時間よりも、データ整理や計算の方が長いくらいですが、実際に実験で得られた値が理論値と一致したときの感動はひとしおです。環境の違いによる誤差についても、原因を考察し、科学の醍醐味を感じるひとときでした。

気になる授業

京都大学 理学部 理学科 物理科学系

物性物理学 2 a

物性物理学の立場から、様々なソフトマターの物質群の特徴や物性を学ぶとともに、それらを物理的に理解し、考えるために必要な物理学の基礎と物性にも取り組む。新しい物質内部の構造とダイナミクスを研究するための様々な物性測定法も修得する。

物理実験学 1

単位と次元解析、データの統計的意義とその処理法など、基礎から簡単な実用レベルまでを系統的に学び、物理および科学のデータを理解し、正しく扱うための基本的な単位、次元の概念を理解する。実験には放射線計測を用い、基礎的な原理や測定方法を身につける。

素粒子物理学 1

物質を構成する最小単位(素粒子)とその間に働く力(相互作用)について学ぶ。素粒子(クォークとレプトン)の間に働いている電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用、重力について、実験と関連づけながら、統一理論、対称性の破れ、質量混合などの理解を深めていく。

将来のフィールド

主な活躍の場

製造 情報関連分野 公務員 銀行・証券など金融関係 研究職 中学校・高校教員 など

一般企業への就職では、電子機器、機械などのメーカーをはじめとして、情報関連分野のほか、公務員、金融など多岐にわたる。

なお、ほかの理学系と同様に大学院への進学者が半数近くいる。進学の目的は、修士課程を修了した後に企業の研究部門に就職することを見据えている場合が多い。また、さらに研究者をめざし、大学や国の研究機関に就職する道もある。

めざす資格・受験資格など

放射線取扱主任者 中学校・高校教諭 1 種免許 環境計量士 技術士(補)

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学びの最前線を知る!

イマナビ ニュートリノの質量発見でノーベル物理学賞

2015年のノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章博士。受賞テーマは「ニュートリノが質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見」と難しそう。でも、ニュートリノは「人間の体を毎秒何兆個も貫通」しており、ある意味身近な存在でもある。

ニュートリノとは、物質を構成する最小単位の素粒子のひとつで、電子型、ミュー型、タウ型の 3 種類がある。素粒子物理学の定説として約70年間もニュートリノには質量がないとされてきた。宇宙空間に大量に存在するが、ほかの物質とほとんど反応せずに地球をもすり抜けるため、観測も難しい。梶田博士らは、宇宙から降り注ぐ宇宙線が地球の空気にぶつかって生じる大気ニュートリノを岐阜県飛騨市神岡町のスーパーカミオカンデで観測。すると、地球の裏側から地球を貫通してやってきたミュー型の大気ニュートリノの数が、地球を通り抜けない観測地点上空の大気からやってきたものの半分だった。ニュートリノは粒子と波の性質があり、「振動」がなければ同じ数のはず。この結果は、ミュー型が長距離を移動する過程でタウ型に変わったためと推定。その後「ニュートリノ振動」を世界で初めて確認して、ニュートリノに質量があるという結論へとつながった。