文化・教養学

文化・教養学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、文化・教養学に関する興味を広げよう。

多様な文化と幅広い教養を学際的に学ぶ

何が学べるのか

「文化」「教養」という言葉は英語でcultureと表される。この語は語源であるラテン語の「耕す」が「精神を耕す」意味となり、「文化」「教養」に転じたとされる。つまり文化学、教養学は人間の内面を豊かにするものに関わる学問といえる。近年の学部改編や新学部の設置に伴い、このような名称のついた学部・学科が増えてきている。

文化学とは、人間の創り出した様々な文化をいろいろな角度から総合的に捉えていく学問であり、扱うものは人間の生活、宗教、歴史、文学、言語、芸術、思想、メディア、近年では日本のサブカルチャーなどと幅広い。一方、教養学では、人間や文化の解明をめざし、人文科学・社会科学・自然科学を広く学び、あらゆるものを学際的に研究する。対象が広範囲にわたるため、広い視野と柔軟な思考力が養われる。

文化学・教養学は学問横断的な研究内容のため、何を研究するかは学生次第、つまり何でも研究の対象となり得る。例えば、アジアやヨーロッパの文化研究や比較文学、言語研究、比較文化や国際文化など地域ごとに分けられるもの、哲学、思想、心理、芸術、歴史、地理など人間一般に関わるもの、メディア、コミュニケーション、社会情報、環境、国際関係といった現代社会に関わるものなどが考えられる。さらにボーダレス化の進む社会にあって、ひとつの国家のなかに生活する人々も単一でない多文化時代を迎えており、共通の出自・慣習・言語・地域・宗教・身体特徴などによって個人が特定の集団への帰属を示す「エスニシティ」も大きなテーマとして注目されている。国際的な問題だけでなく、身近な問題も研究の題材になる。例えば、LINEでのトークやスタンプといった題材も研究対象となり得る。ほかにもジェンダーやポストモダニズム、記号論、身体論、認知論など、多種多様なテーマについて研究することができる。また、フィールドワークをはじめ、各種の社会調査を行う社会学的な方法を研究することも可能だ。

ひとつの学問領域に捉われることなく、様々な視点や領域から多角的に研究できることがこの分野の特徴である。また、語学力・ITスキル・プレゼンテーション能力など、実社会で必要とされる実践力の養成を重視する大学もある。

学べる学科

  • 文化学科
  • 比較文化学科
  • 教養学科
  • 人文社会学科
  • 文化情報学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

高校のうちから、日本と海外の文学作品を読んでおくのがおすすめ

信州大学 人文学部 人文学科 比較言語文化コース 比較文学分野 4年
K・Tさん(山梨県立甲府昭和高校卒)

1年後期 MON TUE WED THU FRI
1 日本語教育学概論 健康科学・理論と実践 スペイン語 フランスの文化
2 文化コミュニケーション概論 リスニング&リーディング 環境文学のすすめ
3 スペイン語 スペイン語圏の文化 (ラテンアメリカの言語と文化) FAE(フレッシュマン・アカデミック・イングリッシュ)
4 言語と社会 ドイツ語史
5 大学改革への学生参加ゼミ

ひと言コメント

信州大学人文学部は教育理念に「実践知」を掲げており、既成の考え方にとらわれることなく、自分で考え行動し、学びを深めるという考え方に強くひかれました。自分が専攻した比較文学分野では、他国の文学をどのように日本が受け入れてきたのか、また言語や文化の違いによって生じる違いや、変わらない点などを分析していきます。比較するということは、それぞれの文学作品に触れ、理解している必要があるので、もしこの分野をめざすのであれば、今から様々な国の多くの作品を読んでおいた方がいいと思います。また、比較文学分野は西洋の古典であるギリシャ語やラテン語に触れられたり、第二外国語の文学の研究ができることも魅力です。

気になる授業

国際基督教大学 教養学部 アーツ・サイエンス学科

アジア社会・文化論

広大で多面的かつ複雑な環境、歴史、文化で特徴づけられるアジア。主に東アジアと東南アジアを対象に、地域の環境と文化の多様性を歴史文脈のなかで考察する。特に日常生活の基盤となる生業活動に焦点を当て、多様性を系統的に整理し、近現代の社会変化との関わりを探る。

カルチュラル・スタディーズ入門

文化批判の理論として英国において登場し、発展してきたカルチュラル・スタディーズの歴史や基本的な概念と、身の回りで起きている事象の批判的な考察方法を学ぶ。ファッションや音楽など、ポピュラー文化のなかにどのような“力”が働いているのかを批判的に検討する。

異文化コミュニケーション

異文化コミュニケーションにおける既存の理論および研究の検証を通じて、「異文化」との出会いの意味を考える。日常にあふれている異質な他者との出会いがどのような“関係性=コミュニケーション”を可能・不可能にしているのかを探る。

将来のフィールド

主な活躍の場

商社 金融 製造、通信 マスコミ・出版関係 サービス業、旅行関連 学校(教員) など

この学系の研究は多彩な領域に及ぶので、卒業後の進路も多岐にわたる。企業側からすると、幅広い視野と柔軟な思考力を持つこの学系の卒業生への期待度は高い。ほかの学系に比べるとマスコミや出版への就職が目立つが、人気職種のため狭き門である。官公庁や地方自治体の公務員になる人も多く、在学中に教員免許を取得して教員になる人や、学芸員資格や司書資格を取得する人も少なくない。また、大学院へ進学する人もいる。

めざす資格・受験資格など

中学校・高校教諭 1 種免許 司書 学芸員 社会教育主事(任用) 社会調査士

こちらから大学情報を検索できます。

学びの最前線を知る!

イマナビ 海外で受け入れられる日本の伝統芸能

日本の主要輸出品目は例外なく工業製品——という見立てはさすがに古い考えであるとしかいえない。今では様々な日本の文化が欧米を中心とする海外に広く受け入れられていることを日本人自身がよく知るようになった。

例えば歌舞伎は、毎年のように世界中の主要都市で海外公演が実施されており、それぞれ好評を博しているようだ。その他の伝統芸能では、能や狂言、人形浄瑠璃などはいうに及ばず、猿回しや落語といった大衆芸能などが海外進出を果たしている。

落語の分野では上方落語の桂かい枝師匠が「英語落語」を1997年から始めている。落語の「話芸」を直訳するのではなく英語でも理解できる形に翻訳して、日本の笑いを提供するそうだ。

日本語は世界の言語のなかでも特殊で、言葉をそのまま訳しても本質が伝わらない場面が少なくないが、最近では俳句を「Haiku」としてたしなむ海外の愛好家も出てきているという。日本語の「五・七・五」を“字数”ではなく“音節”に置き換え、季語のかわりに「季節感を盛り込むこと」というルールを採用した「Haiku」にはアマチュアの愛好家も少なくない。海外でも、日本の伝統芸能や文学をただ鑑賞するだけでなく、積極的に創作に関わる人々が増えているのだ。