心理学・行動科学

心理学・行動科学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、心理学・行動科学に関する興味を広げよう。

人の心や行動を実験や調査を中心に研究する

何が学べるのか

心理学というと、カウンセラーになるための学問と思う人も多いかもしれない。しかし、心理学は人間の心や行動のメカニズムを科学的に研究する学問であり、カウンセリングはその一部でしかない。心理学には多彩な分野があり、分類の仕方も様々であるが、基礎心理学と臨床心理学に大別される。「基礎心理学」は、知覚や記憶、人や動物の学習のメカニズムを理論と実験によって研究する。認知心理学や教育分野に生かされる発達心理学などの基礎的分野をはじめ、人間と社会の関係を研究する社会心理学、人や動物を実験する実験心理学、得られたデータをコンピュータで処理する情報処理などの心理学研究法などを学ぶ。多くの大学では、この領域が心理学を学ぶ学科の中心となっている。「臨床心理学」は、悩みを抱く人に実際に接して診断治療する実践的な分野で、カウンセリングはこの領域に入る。ストレス社会といわれる現代社会では、最も必要とされる分野のひとつであり、教育心理学、犯罪心理学、防災心理学、スポーツ心理学など、理論と実践の面から心のケアを研究する。

行動科学は心理学の手法を応用して、現代社会における人間の行動を広く研究する学問。企業活動のなかで人がとる行動のメカニズムや、対人関係や集団心理など人間の社会的行動などを心理学から分析する。社会調査、実験室実験、数理的方法、コンピュータ・シミュレーションなどの科学的手法での研究が行われ、統計処理も多用される。大学によっては社会学部や人間科学部でも学べる。

学校・企業などでのカウンセラーの需要は年々増加している。こうした状況において、「心の専門家」の必要性は高まっている。例えば、文部科学省は2001年度から「スクールカウンセラー活用事業補助」を進め、現在も公立学校へスクールカウンセラーの配置を続けている。スクールカウンセラーになるには、臨床心理士などの資格を持つ必要がある(臨床心理士資格は、臨床心理士養成に関する指定大学院または専門職大学院を修了し、資格試験に合格すると得られる)。なお、2015年 9 月、心理職として初の国家資格である「公認心理師」を定める「公認心理師法」が成立し、2017年に施行される予定だ。心の健康を維持・促進させるプロとしての活躍が期待される。

学べる学科

  • 心理学科
  • 臨床心理学科
  • 発達科学科
  • 人間科学科
  • 人間行動学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

心理学の文献や論文を、原書のまま読んで、理解を深めます

明治学院大学 心理学部 心理学科 2年
K・Mさん(東京都 私立女子聖学院高校卒)

2年前期 MON TUE WED THU FRI
1
2 調査法
3 心理学英語講読A 中国語研究 1 A 芸術学 3 社会心理学概論
4 心理学基礎実験 発達心理学概論 臨床心理学概論
5 生理心理学概論

ひと言コメント

心理学に強い興味を持っていたので、心理学部を志しました。明治学院大学はヘボン式ローマ字をつくったヘボン博士が創立した大学です。そのためなのか、心理学関連の文献や論文を、原書の英語のまま読むことを課題とする授業があります。「心理学英語講読A」は英語文献を毎回講読し、文献内容を小グループで話し合い、教授が解説を交えながら理解を促すというもの。実践的な授業もあり、「心理学基礎実験」では、心理学の重要な研究方法である心理学実験を体験できるので、興味深いです。また、専門科目だけでなく一般教養科目も充実しており、第二外国語では中国語を履修し、語学とともに、中国に関する文化にたくさん触れました。

気になる授業

筑波大学 人間学群 心理学類

カウンセリング心理学

人間関係を研究対象とする「カウンセリング心理学」の理論、面接技法、形態、研究法を考察。カウンセリングの主要な理論などを通して援助の基礎的な枠組みを捉え、学校や地域における援助の実際について学び、カウンセリングと職業および人生について考える。

心理統計I、II

心理学を学ぶうえで必要となる、主要な統計解析法について学ぶ。「心理学研究と統計」「分布の代表値、分布の散布度」などのテーマを通じて、「心理データ解析」「心理学研究法」「卒業研究」における実験・調査データ解析の技法を身につける。

対人社会心理学演習

コミュニケーション、対人関係、インターネット、メディアに関わる文献講読および現代の社会現象に対する論評を行い、社会心理学における様々な研究手法について理解を深める。また、ディスカッションを通して、各自の興味・関心を明確化する。

将来のフィールド

主な活躍の場

心理カウンセラー ケースワーカー教育・福祉関係 一般企業 病院 など

心理学・行動科学は人間についての学問であり、あらゆる分野とつながっているため、生かせる領域は広い。臨床心理士の資格取得をめざす場合、大学を卒業後、さらに認定協会指定の大学院に進学して受験資格を得る必要がある。資格取得後、カウンセラーとして活躍する人もいるが、競争率が高く、狭き門となっているのが現状だ。

近年注目されている、産業心理学や社会心理学の需要増加から、この学系の専門知識を有する人材への期待は、今後高まることが予想される。

めざす資格・受験資格など

認定心理士 産業カウンセラー 児童福祉司(任用) 社会福祉主事(任用) 臨床心理士 公認心理師 臨床発達心理士 精神保健福祉士 心理カウンセラー

こちらから大学情報を検索できます。

学びの最前線を知る!

イマナビ 人の心がえる時代が来る!?

2016年、NTT西日本がゴルフプレー中の人の心理状態を視覚化し、ゴルフ上達に役立てるサービスを開発した。これは人の心拍数などをセンサーで計測。その分析をもとにしたアドバイスをスマートフォンなどで確認できるようにしたもの。同社は2015年にもお化け屋敷での人のビビリ度を測るシステムの開発に携わっており、「ココロの視みえる化サービス」の開発に注力している。

心を視みる研究については、すでに2013年、日本の国際電気通信基礎技術研究所の研究チームが、睡眠中に人が見ている夢の内容を解読することに成功した。まだ単純なものだが、将来はもっと鮮明に夢を映像化できる可能性もあるそうだ。ほかにも九州工業大学の研究チームが頭に思い浮かべた言葉の解読に成功しており、いずれは心のなか――例えば「好き」「嫌い」など――がレントゲン写真のようにはっきり視みえるようになりそうな、研究の進展ぶりである。

もちろん人の心の働きについてはまだ未解明なことばかり。しかし、心理学や行動科学もいろいろな成果を挙げており、先述したようなシステムの開発とあわせて心の謎が解明されることで、スポーツや勉強をはじめ、社会の様々な分野で役立てられることが期待される。