史学・地理学

史学・地理学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、史学・地理学に関する興味を広げよう。

時間・空間を軸に人間の営みを探究する

何が学べるのか

歴史学と地理学は、それぞれ歴史と空間・自然との関わりから文化・社会など、人間の営みを探究する学問である。歴史学は「時間」を軸に、地理学は「地域(空間)」を軸に考察を進めていく。両者は一見関係が薄いように感じられるかもしれないが、歴史学は過去の文書や日記、地理学は地図・絵図といった二次元の史料と、遺物などの実地調査に基づいて研究を進め、その時代の社会状況を立体的に再構成することを究極の目的とする点で、実際は関連の深い分野だといえる。

すべての出来事には原因があり、それが結果につながっている。歴史学とは、それらが複雑に入り組んだ因果関係を解きほぐし、過去の政治・経済・社会の構造を明らかにする学問である。大別すると、日本史、西洋史、東洋史の3分野があり、宗教、戦争、大衆生活、文化などのテーマ史研究もある。そこから抽出した史実が、現 在あるいは未来について考える際の指針とも知恵ともなり得る。特に現代のようにグローバル化・ボーダレス化が進み、国家間の関係が大きく変化している時代にあっては、その意義は大きい。

大学の歴史研究は、高校までの歴史学習とは違い、史料を読み解き、当時の世相や民族性を捉えるという創造的な学問である。

一方、地理学は土地を対象とし、地形や産業、交通、気候、土壌などについて地域的な特性や問題点などを解き明かしていく学問である。これらの条件が人々の暮らしや社会に与える影響を考察し、問題点を浮き彫りにすることで、より暮らしやすい社会をつくるための方向性、解決策を模索する学問ともいえるだろう。

日本は、特に地震や台風など自然災害の多い国である。地形、気候などの地球環境における自然現象を対象とする自然地理学では、これらの現象が発生するメカニズムを学ぶとともに、環境問題や自然災害の被害をいかに最小限にくい止めるかについても研究し、街づくりに還元する計画なども練っている。

また人文地理学では、人口、民族、言語、集落、政治、経済などを、歴史的な変遷と時代ごとの地理学的な特色の双方から総合的に考察し、生活スタイルや都市形成、産業の振興につなげる研究なども行われている。

学べる学科

  • 歴史学科
  • 史学科
  • 歴史遺産学科
  • 地理学科
  • 文化財学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

身の回りにあるものを題材に学ぶ。最も身近な学問のひとつです

お茶の水女子大学 文教育学部 人文科学科 地理学コース 3年
M・Hさん(東京都 私立錦城高校卒)

3年前期 MON TUE WED THU FRI
1
2 建築環境計画論 社会地理学演習
3 地理情報システム演習II
4 地理学フィールドワーク演習 フィールドワーク方法論
5

ひと言コメント

地理学は、学ぶ題材が自分の身の回りにある、実は最も身近な学問だと私は思っています。文教育学部では、土日のフィールドワークや夏休みに短期集中で行う測量学や地図学など、通常のカリキュラム以外にも実践的で充実した内容の授業を受講することができます。少人数の授業が多いので、常にゼミのような雰囲気が特徴です。私が好きな授業は「地理学フィールドワーク演習」。夏休みに泊まり込みで行う「地理学フィールドワークA」という授業の準備のために行うものです。準備といいながら、卒論と同じく、テーマ設定から先行研究を調べ、現地にアポをとり、実際にインタビュー調査や現地調査まで行いました。非常に実践的な授業で、卒論作成時にも役立ちそうです。

気になる授業

法政大学 文学部 史学科

東洋中世史

13~14世紀の西アジア・中央アジアの歴史と文化を題材に、モンゴル帝国の侵入・支配によって既存の社会・文化がどのように変化し、その後の歴史に影響を与えたのかを理解する。従来の世界史やイスラーム史叙述にとらわれない歴史の見方を身につける。

日本考古資料学I

考古学の論文の内容がどのような手続きを経て成り立っているかを理解するために、土器や石器などの実際の遺物から情報を読み取り、図、拓本、写真で表現し、資料の記述を行う。土器の製作、使用について属性を理解し、その所属時期を判断できる基礎的基準を修得する。

西洋史演習

僭主政を題材として、それにまつわる研究論文の読み方や関連する古典史料の扱い方を学ぶ。「アテネ民主政と僭主政」「喜劇を読む」などをテーマにした講義を通じて、レポートの書き方、発表の仕方、外国語文献の読み方など、論文作成に必要な技法を修得することをめざす。

将来のフィールド

主な活躍の場

マスコミ・出版関係、研究職 公務員、旅行会社、測量会社 学校(教員) 図書館、博物館 など

歴史学・地理学に限らず、文学部出身者の就職先は、必ずしも大学で学んだ知識を生かす方向だけに限らない。ほかの文系学部と同じく、マスコミ・出版関係や公務員などへの就職が人気である。旅行会社や測量会社への就職も有利である。学系の特色を生かせる博物館の学芸員は募集が少なく、教員も競争率は高い。チャンスをいかに活用するかが重要な鍵となる。大学院修了後の就職も同様に厳しい状態である。

めざす資格・受験資格など

中学校・高校教諭 1 種免許 測量士補 司書 学校図書館司書教諭 学芸員 旅行業務取扱管理者(総合・国内)

こちらから大学情報を検索できます。

学びの最前線を知る!

イマナビ 地名でわかる? 大地に刻印された自然災害

2016年は熊本地震や相次ぐ台風など、自然災害の目立つ年であった。科学技術の進んだ現代でも後を絶たない自然災害に対処する一例として、地域に残るいろいろな記録や伝承などの調査・研究が、様々な分野の研究者によって防災研究に活用されている。地名研究もそうしたもののひとつだ。

「地名は大地に刻まれた歴史の索引」とは、民俗学者で日本地名研究所所長でもあった谷川健一の言葉だが、地名には、その土地に起きた過去の災害の記録が残されている場合があるのだ。例えば、地名に「津」がつくのは、過去に津波被害のあった土地という説がある。また、「蛇」は、土砂の流出を蛇ののたうち回る様子で表したもの。ほかにも「カマ」がつくのは、津波で大地が噛まれたようにえぐられた地形のこと。大阪・梅田の「梅(ウメ)」なども、埋めたてられた土地を表すといわれる。

ただし、こうした言葉のつく地名のすべてが自然災害と関係があるわけではなく、地名の解釈も単純ではない。そのため地名研究を防災に活用するには、従来研究を支えてきた歴史学や民俗学、地理学に加え、地質学などの自然科学の学問分野の知見も求められている。