食物・栄養学

食物・栄養学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、食物・栄養学に関する興味を広げよう。

理想的な食の在り方を求めて

何が学べるのか

戦後、今日に至るまで日本人の食生活は大きく変わった。社会や生活スタイルの変化に呼応し、その内容は多様化しているばかりか、食事のとり方ひとつ取っても様々な変化を見せている。食生活が、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病につながったり、成長期の子どもの発達に影響を与えたりしている。また、外食の増加により、食産業に新たな形態が登場するなど、在り方も変化している。

こういったなかで、食に関する様々な問題が注目を集めるようになってきた。例えば、食品添加物や遺伝子組み換え食品の安全性、食料自給率の低さ、食料生産と環境との関係、化学物質による食物汚染など、今日の食を取り巻く状況を考える際には、あるひとつの学問分野だけで考えるというより、広く様々な学問分野の視野に立って捉えなければならないものとなっている。

食物・栄養学系の学部で学べるのは、

(1)生体と摂取される食物との関係を考える科学

(2)食品に関する科学

(3)生活文化の側面から食を考える科学

の大きく 3 分野に関わる複合的・総合的学問である。

例えば、(1)では栄養学、生理学、臨床栄養学、栄養指導論などの分野を、(2)では食品学、食品科学、食品衛生学、食品加工貯蔵学、調理学などの分野を、(3)では食文化論、食料経済、フードコーディネート論などの分野を、自分の興味・関心や問題意識、将来の目的などに応じてそれぞれ学んでいく。

栄養機能、感覚機能(味や匂い)、生体調整機能を持つ食物・食品は、その調理や摂取のされ方といった文化的・社会的な側面も合わせて、私たちには不可欠なものである。だからこそ、豊かで安全な食生活について考え、それを実践するために、食物や食品について幅広く学ぶことには大きな意義がある。

食物・食品については、一般的に生活科学系で学ぶことが多いが、ほかにも農学・農芸化学・生命科学系、酪農・畜産学系、水産学系でも研究対象となっている。また最近では、医学や工学分野とも連携した学際性の高い研究も行われている。こうした学問間の壁を越えた総合的な研究は増える傾向にあり、より幅広い研究ができるようになってきている。

学べる学科

  • 管理栄養学科
  • 栄養健康学科
  • 食物栄養学科
  • 栄養科学科
  • 食物学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

自分の体を検体にして、様々なデータを調べる実験もあります

東京家政大学 家政学部 栄養学科 管理栄養士専攻 4年
A・Hさん(東京都 私立國學院大学久我山高校卒)

3年後期 MON TUE WED THU FRI
1 栄養学各論実習 栄養療法実習 食品加工学 病態栄養生理学
2 公衆栄養学実習 行政栄養士実習
3 解剖生理学実験 食品化学実験II
4 栄養教諭各論
5 教育内容・教育方法

ひと言コメント

病気になってからの医療ではなく、病気を未然に防ぐ「予防医学」に関わりたいと思ったのが東京家政大学家政学部に進んだきっかけでした。「解剖生理学実験」は、血液型、血糖値、視覚、味覚など、自分の体を検体にして学びます。出てくるデータはすべて自分のものなので、興味を持ちやすく、記憶も定着するというメリットがあります。管理栄養士専攻は、国家資格である管理栄養士を養成する専攻なので、高校の化学や生物をはじめ、調理、食べ物の成分、食品衛生、臨床栄養学、病態など、食べ物に関わることを幅広く学びます。これらの科目は内容がつながっているため、理解が深まると一気にそれぞれの知識が結びつくというおもしろさがあります。

気になる授業

金城学院大学 生活環境学部 食環境栄養学科

食品衛生学

食中毒や食品事故の要因となる微生物、寄生虫、異物などのほか、食品に残留して健康被害を起こす恐れのある農薬、重金属などの化学物質やカビ毒などの天然成分についても学ぶ。生物的、化学的、物理的危害要因とそのリスクを理解し、これらのリスク低減方法について考察する。

食システム論

私たちの食生活、食料消費、食料流通、食品加工、食料生産の特徴と問題について、これらの具体的な事例を題材としながら理解を深める。さらには、世界の食料事情や、グローバリゼーション下のわが国の食料政策についても学び、社会経済学的に理解する力を身につける。

食品機能学

タンパク質やビタミン、ミネラルなどの食品成分が、どのように体に機能するかを体の働きと関連づけて学ぶ。食品の分類および成分を理解し、人体や健康への影響に関する基礎的知識を修得する。食品の表示と規格基準についての知識も身につける。

将来のフィールド

主な活躍の場

保健所、病院、学校(教員)、福祉施設 外食産業、流通、販売 パティシエ 給食センター 消費者センター など

農学分野で修得した専門知識を生かして、農業試験場をはじめ、都道府県の行政組織や研究機関などへの就職を希望する人が多い卒業後は、大学で学んだことや、取得した資格・免許を生かした進路が開かれている。管理栄養士や栄養士は、保健所、病院、学校、福祉施設、事務所などの給食施設における栄養管理、食品メーカーの研究室・商品開発分野などで、欠かせない存在として活躍している。中学校・高校の家庭科教員として、望ましい食生活の在り方を指導していくのも意義のある仕事だ。

また、大学院に進み、さらに研究を深めていく人もいる。

めざす資格・受験資格など

栄養士/管理栄養士 食品衛生管理者(任用) 中学校・高校教諭1種免許

こちらから大学情報を検索できます。

学びの最前線を知る!

イマナビ 食品の安全性を保証するHACCP

 「食」に関する話題がニュースで取り上げられることが多くなっている今日、食品の安全性を保証する国際的な食品衛生管理システム「HACCP」が改めて注目されている。HACCPはもともとアメリカNASAで宇宙飛行士の食糧の絶対的な安全性を確保するために開発された手法。従来の食品の品質管理は、製造工程ではチェックが入らず、最終的な製品の一部をサンプルとして抜き取り、細菌検査や化学分析などの検査が行われていた。一方、HACCPは、品質を検査で保証するのではなく、その品質がつくられる工程を管理することで、品質を保証していこうとするもの。原材料・加工・包装・出荷に至るあらゆる段階で発生する危害を予測・分析・想定し、どの段階でどのような対策を講じればより安全な製品をつくることができるか、という重要管理点を定めることで安全性を確保する。重要管理点の管理結果は常に記録・保管されており、万が一不良品や事故が発生した場合にも、迅速で適切な対応が可能になった。

このシステムは国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関であるコーデックス委員会によって策定され、EU、米国をはじめ国際的に認められており、農林水産省もHACCP導入を積極的に支援している。

家政・生活科学分類のその他系統