食文化・食品経済学

食文化・食品経済学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、食文化・食品経済学に関する興味を広げよう。

総合的な視点で、食とその生産を研究

何が学べるのか

ユネスコは2013年、「和食」を「自然を尊重する日本人の心を表現した食文化」と評価して、無形文化遺産に登録した。また近年、地産地消運動やスローフード、過食症や食物アレルギーなど、食に関する話題が連日報道されており、「食」の文化的・社会的な側面に大きな注目が集まっている。

食文化学は、食を取り巻く様々なテーマに対して、食品化学や栄養学などの科学的知識を活用しながら、食の歴史・伝統、習慣やライフスタイルといった文化の視点から食を総合的に研究する。食文化の在り方は世界各地の文化や人々の価値観の形成に大きな影響を及ぼしている。例えば、日々の食事を通じて礼儀作法やマナーが形成され、良好な家族関係も維持されることで、各地域の文化の基盤となる。味覚の評価にビッグデータを応用するなど、「食文化」を軸にした新しい研究も進んでいる。

食品経済学は、農水産物の生産から食品の加工、流通、販売、消費まで、食に関係する問題を経済学や経営学の視点から研究する。具体的には、生産地での食材の状況把握から始まり、流通経路、食品メーカーでの製品開発、外食産業の現状、さらに食品廃棄物の処理や再利用法など、食に関する様々な領域を研究する。食品経済学では、経済学や経営学の基礎理論、マーケティングなどの手法を食品の問題に応用しながら、法学、社会学、歴史学などの人文・社会科学系の学問との連携を重視する。世界的規模で農産物の貿易が行われる現在、様々な議論が起こっているTPP、世界貿易機関(WTO)体制下での自由貿易原則やその例外規定なども学び、食糧安全保障の問題も考える。開発途上国が直面する食糧不足などを解消するための農業開発も研究テーマとなる。

この学系の特色として、活発な演習・実習・フィールドワークが挙げられる。農家からのヒアリングや農協・市場で流通の実態調査を行い、分析結果を報告書や論文にまとめる。外食産業などの現場でのインターンシップを行う場合もある。新しい食文化の担い手をめざし、食の6 次産業化プロデューサー、フードスペシャリスト、フードコーディネーターなどの資格取得を支援する大学もある。常に現場を意識しながら、国内外における食品の生産・流通・消費に関わる経済問題に取り組んでいる。

学べる学科

  • 農業経済学科
  • 食料資源経済学科
  • 食料農業システム学科
  • 食品ビジネス学科
  • 地域創成農学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

栄養学をベースに食品について深く掘り下げます

東洋大学 食環境科学部 食環境科学科 フードサイエンス専攻 4年
T・Aさん(埼玉県 私立獨協埼玉高校卒)

3年春学期 MON TUE WED THU FRI
1 応用栄養学 食品衛生学 食品安全学
2 食品官能評価概論 機能食品科学
3 生命科学英語II スパイスの科学 プロバイオティクス フードサイエンス 実験II 食品微生物利用学
4 生体高分子化学
5

ひと言コメント

高校生の頃から生命科学分野が好きで、なかでも食品に興味があり、食環境科学科を志望しました。生命科学や栄養学の基礎を押さえつつ、一つひとつの食品成分が体内でどのように変化し影響をもたらすか、食品の安全を守るためにはどうすべきかなどを学ぶことができ、食品に興味のある人にとってはとても楽しい学科だと思います。臨床栄養学にスポットを当てた授業や、「生命科学英語II」の授業では先生の講義を聞くだけでなく、実際に自分たちでテーマを決めて論文を調べ、その分野に関する内容をプレゼンすることもあります。英語論文も読まなければならないので大変ではありますが、先生たちのサポートも手厚く、楽しく知識を深めることができる授業です。

気になる授業

龍谷大学 農学部 食料農業システム学科

食品の安全と法律

食の安全に関する問題、その現状、食の安全に関する法について、制定の経緯をあわせて学ぶ。実際の食中毒や食品汚染事例を取り上げ、医学的・衛生学的な視点に加え、農業や食品製造の供給側、消費者側といった様々な視点で食の安全を担保する方策について考察する。

日本・京滋の食料と農業

日本的食生活とそれを支える日本農業の特徴、食料自給率の低さに象徴される日本の食料生産の課題について概観する。そして、日本各地の農業と比較しながら、京都・滋賀の農業や食文化の特徴を理解したうえで、農業への関わり方について考察する。

世界の歴史と農業

農産物の交流と伝播、その交流がもたらした植民地支配、世界の南北分断などの歴史背景を基に、現在でも影響を与え続けているこれらの問題から、現代の農業を考察。将来の農業を展望する力を身につける。「食と農」の観点から、世界歴史の一側面を学ぶ。

将来のフィールド

主な活躍の場

JA全農などの農業団体 食品メーカー、飲食・酒造メーカー 食品の製造・流通・販売、外食産業 など

農学と総合科学の両方の要素を含んだ学問を身につけたことを生かして、農業関連団体などをはじめとするアグリビジネスや、食品メーカー、飲食・酒造メーカー、食品の製造・流通・販売、外食産業などへ進む人が多い。なかには銀行や証券といった金融関係へ進む人もいる。

また、近年では、環境関連の企業へ進むケースも見られる。さらに、大学院に進学したり、NGOや国際的な機関において、大学時代に進めた研究をさらに深めることもできる。

めざす資格・受験資格など

日本農業技術検定 普及指導員 農業協同組合監査士 中学校・高校教諭 ₁ 種免許

こちらから大学情報を検索できます。

学びの最前線を知る!

イマナビ 大筋合意から一転? TPP交渉

日本が2013年に初めて参加したTPP。このTPPとは環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Partner-ship)の略で、太平洋を取り囲む国々の間で、モノやサービス、投資などの自由化を進めるための取り決めのこと。

TPP交渉が本格化する前に日本は、「聖域」と呼ばれる「農産物 5 項目」を設けており、これらを関税撤廃・削減の対象外としてきた。その 5 項目とは、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物(サトウキビなど)。国産より海外産の方が安価なので、関税をかけないと日本の農業が守れないと考えられてきた。ただ、「聖域」を確保できても、輸出入全体で日本が受けるメリットとデメリットなどを総合して考えた場合、国内でも賛否両論がある。各国の事情も同じで、それぞれの国の状況に応じて、交渉でどのような具体的な内容を勝ち取れるかに注目が集まっていた。

2015年10月、TPP交渉が大筋合意し、農産物 5 項目のうち約 3 割の品目で関税撤廃となったが、TPP離脱を宣言したアメリカ・トランプ大統領の就任により、TPP交渉は新たな局面を迎えようとしている。