農業工学・森林科学

農業工学・森林科学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、農業工学・森林科学に関する興味を広げよう。

自然環境と農・林業との融合を探る

何が学べるのか

日本の農業技術は、安定品質と安定供給を目標に、作業の機械化や施設整備、あるいは長年にわたる耕地の改良や保全などで、農業の近代化を飛躍的に進めてきた。その一方で、農業従事者の高齢化、農村の過疎化など、日本の農業は危機的な状態にあるともいわれる。また、地球規模での環境破壊や気候変動、それに伴う生物多様性の危機など、難しい問題に人類は直面している。

農業工学はこれらの問題の解決をめざし、農学と工学を連携させる学問であり、農業土木分野と農業機械分野、さらに環境関連分野などの視点から研究を進める。農業土木分野は、主に土地の有効利用と水資源の開発・利用などをテーマとしている。いずれも限られた空間や資源をどう生かしていくかがポイントとなる。従来の効率一辺倒の開発ではなく、自然との共生をめざす農村社会づくりという視点からの取り組みが進められている。農業機械分野では、トラクターやコンバイン、スプリンクラーなど生産に使われる安全で効率的な機械や設備の開発が中心テーマとなっている。最近は農業ロボットなどメカトロニクスを駆使した研究も盛んに行われている。ビッグデータを活用した効率的な栽培法の開発、小型の無人機ドローンを農業に活用する実験なども始まった。また、環境関連分野では、資源の有効利用と生態系の保全という面から農業の在り方を考察する。

林業は、自然を舞台とする産業の代表的な存在である。森林科学は、自然環境としての森林や、森林に生息する動植物について研究するとともに、森林を資源と捉え、人間との関わりを見つめながら、森林資源の産業活用と管理・保全について学ぶ。森林は、多様な生態系を育む場であり、建築資材や紙の原料を産出する場としても、人間に大きな恵みをもたらす。しかし、ひとたび森林が失われると、その回復には長い年月がかかる。大量伐採による熱帯雨林の減少が地球温暖化の主要因とされる現在、地球環境に深く関わる学問としても注目されている。地形・地質学や土壌・気象学など自然科学的側面に加え、経済・経営学、社会学といった社会科学的側面からのアプローチも行われ、森林と人間が共存できる方法を探究している。森林科学は、森林の保全・育成と産業振興の2 つを大きな柱とする、複合的・学際的な学系といえる。

学べる学科

  • 生産環境工学科
  • 資源生物科学科
  • 森林科学科
  • 環境資源科学科
  • 生物環境科学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

農業に関わる土木や機械についても学べるのが魅力です

京都大学 農学部 地域環境工学科 4年
K・Fさん(大阪府立天王寺高校卒)

3年前期 MON TUE WED THU FRI
1 測量学 農村計画学 砂防学I
2 技術英語 構造解析学 機械設計 環境水文学
3 測量法及び実習 制御工学 土壌物理学・ 水環境工学実験 水理学実験(講義)
4 電気・電子工学
5

ひと言コメント

私が進んだ地域環境工学科は、農学部として農業のことも学びながら、土木や機械など工学的なことも学ぶことができるのが大きな特徴です。様々な分野について学んだうえで、じっくりと進路を決められると考え、進学を決めました。知識欲旺盛な欲張りな人にはおすすめの学科だと思います。私は施設機能工学を専攻しており、スケールの大きい土木の最先端について学んでいます。特におもしろいと感じたカリキュラムは、「測量法及び実習」。大学構内にある農地を実際に測量するのですが、思ったよりも骨の折れる作業でした。しかしその分、実習班の仲間と仲良くなれました。また、先生方との距離も近く、質問に行けば丁寧に答えていただけるのも嬉しいです。

気になる授業

岩手大学 農学部 共生環境課程 森林科学コース

森林作業システム学

森林管理技術者が土地の形状、地形や境界線・面積といった、森林が存在する地表面の幾何学的特徴を調査するために基礎となる測量学を学ぶ。距離測量、平板測量、コンパス測量など、各測量方法の定義、外業・内業の手順、計算方法を修得する。

森林測量学I

生体の恒常性維持において重要な機能を果たしている酵素について、歴史的背景をはじめ、基質特異性、構造機能相関、反応機構など基礎から応用まで幅広く学ぶ。生命科学・食品科学分野における酵素の機能を理解し、未知の生命現象の解明とその応用力を身につける。

樹木資源学

再生産可能な生物資源である樹木について、樹木の種類によって異なった特性を効果的に利用するために、樹木種の生物学的分類を学ぶ。さらに、種子、苗木の性質や成長方法、取り扱い方法を身につけ、樹木の育て方、分類などの基礎的知識を修得する。

将来のフィールド

主な活躍の場

官公庁・公的機関 建設会社 JAグループ 設計コンサルタント会社 製造業 環境関連産業 など

農業工学系出身者の場合は、専攻が土木・機械・環境分野と分かれているため、進路も専攻ごとに異なるケースが多い。土木分野では官公庁や公的機関への就職の割合が高く、一般企業では建設会社、設計コンサルタント会社など、機械分野では機械メーカーなど製造業への進出が目立つ。一方、森林科学系出身者では林野庁や各自治体の林務課など行政職の人気が高い。製紙会社やハウスメーカーなどで専門家として活躍している人も多い。

めざす資格・受験資格など

食品衛生管理者(任用) 測量士補 林業技士 樹木医 技術士(補) 環境計量士 森林情報士

こちらから大学情報を検索できます。

学びの最前線を知る!

イマナビ 進む農業のIT化で、ドローンが活躍

日本の農業が直面する課題は、少子高齢化による担い手の減少。このままでいくと耕作放棄地が増え続け、日本から産業としての農業が消滅するとの指摘もある。そこで、若者や企業が農業に参入しやすくするためにも「農業のIT化」が進められようとしている。ベテラン農業者の経験や知識をデータ化して蓄積することで、実務面での技術やノウハウを農業初心者にスムーズに伝えられる。さらに、農業のIT化のひとつとして注目されるのが無人航空機「ドローン」の活用。農地の上空にドローンを飛ばせば、GPSと画像認識システムによって、農地の状態や農作物の育成状態などを簡単かつ安全に観察できる。温度や湿度を観測できる多機能カメラで収集したデータは、降雨量や日照量のビッグデータと連携させることで、農業のインテリジェンス化を加速。収穫量の増加や低農薬化、付加価値化などを実現する。2015年12月にはドローンを含む無人航空機による農薬散布の利用方針が示された。

また、次世代農業として注目される「精密農業」。農地・農作物の状態をきめ細かく観察・制御し、農作物の収穫量及び品質の向上を図り、その結果を基に次の生産計画を立てる農業管理手法で、ドローンはその強力サポーターとしても活躍が期待される。