農学・農芸化学・生命科学

農学・農芸化学・生命科学の学問分野で学べるカリキュラムや将来活躍できる場などを調べて、農学・農芸化学・生命科学に関する興味を広げよう。

バイオ技術の進展で多様化する領域

何が学べるのか

人口爆発による食糧危機、地球環境の悪化がもたらす農産物への影響、食の安全など、農業を取り巻く問題は山積みで、新技術への期待は高まっている。

長い歴史を持つ農学は、品種改良により、栽培植物の生産性や品質の向上に大きな役割を果たしてきた。同時に、遺伝や染色体解析など、生物学の面でも様々な成果を上げている分野であり、実学研究と基礎研究の両輪で成り立っている。砂漠地帯の緑化、低農薬での安定栽培、ビル内でも野菜生産を可能にする植物工場、宇宙での食料生産技術など、新しい農学への挑戦は話題が尽きない。

近年は、研究対象が資源や生命科学、環境学、開発など多様化しており、農学科という名称から生物生産学科や農学生命科学科、生物資源環境学科など研究の方向性を具体的に示す名称への変更や学科改組する事例も多い。農産物の生産・品質向上につながる科目と生物学を基本としながらも、環境保全や都市計画、アグリビジネスなどの分野までをカバーし、学際的傾向を強めている。

このような広がりを見せる農学系学問のなかに、農芸化学がある。農業生産に関わる多様な問題を化学によって解決することをめざす学問分野で、生物学や生命科学とのつながりが深く、食糧、医療、工業、環境問題など、応用される分野も多彩である。研究領域は幅広く、例えば石油に代わる再生可能エネルギーとして食物や微生物など利用するバイオマス発電、微生物の力で自然に還る生分解性プラスチックの開発などがある。

「21世紀はライフサイエンスの時代」ともいわれ、生命科学分野に大きな期待が寄せられている。農業分野にも最新の技術が導入・実用化されており、遺伝子の組み換えや編集による病害や害虫に強い品種の育成、クローニングによる大量培養など、最先端の研究が進められている。

この学系では食品科学科、応用生物化学科、生命科学科など、研究目的に合わせて様々な名称を用いる傾向がある。しかし、いずれも遺伝や繁殖、生殖、物質代謝など生物の持つ機能を科学的に解析し、人間生活に役立てることを目的とする。生物生産や加工、廃棄・再生といった問題に対し、バイオテクノロジーの観点から取り組むことも多く、生命の尊厳や生態系の保全に対するものの見方・考え方を身につけることも重要になっている。

学べる学科

  • 農芸化学科
  • バイオサイエンス学科
  • 園芸学科
  • アグリビジネス学科
  • 生物資源科学科 他

どのように学ぶのか時間割をチェック

農業を様々な視点で捉え学ぶことができます

日本大学 生物資源科学部 植物資源科学科※ 3年
K・Uさん(東京都 私立暁星高校卒)

3年後期 MON TUE WED THU FRI
1 応用昆虫学実験 分子植物育種学 植物資源科学演習
2 専門英語 緑地政策論 工芸作物学
3 昆虫病理学 緑地管理論 植物資源科学実習
4
5

ひと言コメント

私のひとつ下の学年から学科名称が変更になっていますが、農業に関して多角的に学べることと、研究に打ち込めることという学科の特徴は変わっていません。例えば、作物の生産、害虫や遺伝子組換え、環境の管理など、農業を様々な視点から捉え学習することができます。また、広大なフィールド・設備があり、バラの剪定や温室の利用など充実した実習・実験を行うことが可能です。研究室配属が 3 年次からなので、学んだ知識を早くから実践し、実践することでさらに知識を深め、新たな理解を得ることができるのも魅力。このように、多様な科目により農学に関する幅広い知識を身につけられ、早期の研究室配属で専門性も深めることができます。

※2015年 4 月より、生命農学科に改組しています。

気になる授業

信州大学 農学部 農学生命科学科 生命機能科学コース

応用微生物学

人間の生活や産業活動に大きく関わっていた微生物バイオテクノロジーの歴史や技術内容を学ぶ。L-アミノ酸発酵やヌクレオチド発酵などの授業を通して、その知識や原理を新しい微生物バイオテクノロジーの創造に生かすための基礎力・応用力を身につける。

酵素化学

生体の恒常性維持において重要な機能を果たしている酵素について、歴史的背景をはじめ、基質特異性、構造機能相関、反応機構など基礎から応用まで幅広く学ぶ。さらに、酵素を基本とした生体機能の利用法に関する基礎的知識も修得する。

遺伝学

遺伝学入門として位置づけし、遺伝学の発展の歴史や遺伝物質の本体と情報伝達の仕組み、形質発現の機構などを中心に学ぶ。古典から近代遺伝学における基礎的事項を修得。細胞分裂と減数分裂の違い、DNAの複製と突然変異など、遺伝学に関する基礎知識を身につける。

将来のフィールド

主な活躍の場

農業関連企業 食品産業 食品加工業、飲料・酒造メーカー 医薬品、化学関連企業 など

農学分野で修得した専門知識を生かして、農業試験場をはじめ、都道府県の行政組織や研究機関などへの就職を希望する人が多い。民間企業への進路は、肥料・農薬などの開発・生産を行う企業や、食品関連企業などがある。農芸化学系では、食品関連企業や化粧品、医薬品、化学工業などの専門職や研究職に就く人が多い。両系統とも、大学院進学率が高く、修士課程さらに博士課程へと進み、研究者をめざす人も多い。

めざす資格・受験資格など

測量士補 日本農業技術検定 グリーンアドバイザー 食品衛生管理者(任用) 樹木医 普及指導員 毒物劇物取扱責任者

こちらから大学情報を検索できます。

学びの最前線を知る!

イマナビ 農薬を使わず害虫を駆除する新技術

農作物を生産するには、病害虫や雑草から作物を守るため、農薬散布が欠かせない。ただ一部の農薬には、毒性が強いものや土壌への残留性が高いものなどもある。無農薬野菜に対する消費者ニーズも高まっており、農薬を使わない害虫駆除技術が求められている。

人工知能を搭載したドローンで農薬を使わない害虫駆除の実証実験に成功したのが、佐賀大学らのチーム。ドローンはGPS機能を使って設定されたルートを自動飛行しながら、装着した光源で害虫を誘き出し、高電圧で殺虫する。夜行性が多い害虫だが、活動が活発な夜の時間帯に自動で駆除作業が可能になった。農薬を使わず、寝ている間に害虫駆除ができる「夜の農業革命」として大注目の技術だ。

また、青色発光ダイオード(LED)の青色光も、新しい害虫駆除ツールとして脚光を浴びている。波長の短い紫外線が生物に対して毒性を持つように、一般的に、光は波長が短いほど生物への殺傷力が強くなる。こうした常識に反して、紫外線より波長の長い可視光中の青色光を当てると昆虫が死ぬことを、東北大学の研究チームが世界で初めて確認。新しい害虫駆除技術につながるだけでなく、光の生体への影響を研究する新しいアプローチとしても注目される。